BOOM BIP “SEED TO SUN”

DOSE ONEとのプロジェクト”CIRCLE”も強烈だったシンシナティのプロデューサー、BOOM BIPのデビュー・アルバム。イギリスのLEXから届いたこのソロ・アルバムでは、”CIRCLE”のアヴァンギャルドさは影を潜め、ひたすらエモーショナルで情景豊かなインストゥルメンタルを聴かせてくれる。

アルバムを華々しく飾る”ROADS MUST ROLL”が、なんと言っても素晴らしい。ファンキーなベース・ラインを美しいストリングスのメロディーが包み込み、叩き付けるようなドラムがエッジを加える。文句の付けようのない最高のインストゥルメンタル。同曲で明らかなBOOM BIPのコンポーズの才能が更に効果的に発揮されているのが、DOSE ONE をフィーチャーした”MANNEQUIN HAND TRAPDOOR”。魑魅魍魎とした静かな始まりから、心地良いベースが挿入され、ブリッジ、フックへと展開するにつれ何とも言えず夢見心地にさせてくれる。壮大な世界観に完全に溶け込むDOSE ONEのヴォーカルは、カリスマ性すら放っていて、同曲を傑作たらしめるのに大きな役割を果たしている。もうチョット長くても良かったかも。

前述の2曲ほどのクオリティの曲は他にはなかったが、駄曲もない。”U R HERE”からドラムレスの”PULSE ALL OVER”への流れも良いし、”CLOSED SHOULDERS”や”THE USE OF UNACCEPTABLE COLORS IN NATURE”などは、厳粛さすら醸し出している。唯一、BUCK 65との”THE UNTHINKABLE”はあまり好きになれなかった。

アルバムのあちらこちらに感じる生真面目さが窮屈な瞬間もあるが、そこは嗜好の問題。表情豊かなインストゥルメンタルの数々。ドープ。