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EYEDEA & DJ ABILITIES “E & A”

EYEDEAとABILITIESのタッグが帰ってきた!約3年振りとなるセカンド・アルバムだ。

強気にカムバックを宣言する”REINTRODUCING”は、EYEDEAのラップをコスってみせたりと面白い幕開け。続く”NOW”では、技術的にもアイディアの多様さ(シャレではない)にも驚かされる。凄まじいフロウ!ストレートなディス・ソング”STAR DESTROYER”や”E & A DAY”はバトル・ライム健在を印象付ける佳曲、ユーモラスな”EXHAUSTED LOVE”や”ACT RIGHT”にもニヤリとさせられるし、”PARADISE”、”GLASS”の2曲ではポエティックなリリシストとしての一面も忘れていない。特に、”GLASS”で徐々に感情を爆発させていく様は圧巻だ。本作でのEYEDEAとこれまでの作品との最大の違いは、何時になくパーソナルな題材を扱っている点だろう。自らの内にある感情を素直にぶつけている。

ABILITIESのプロダクション・スキルは、地味ながら成長を窺わせる。埃っぽくタフな部分はそのままに、よりキャッチーで肩の力が抜けた感じだ。”PARADISE”や”GLASS”では、格段に向上した構成力をさらりと聴かせる。切れ味鋭いスクラッチが前作よりも魅力的なのは、各曲中で有機的に機能しているせいだろう。ドラムはとにかくタイトだし、色んな映画のエロ台詞をコラージュした”TWO MEN AND A MEN”も面白い。何気に、OLIVER HART名義で披露したEYEDEAのプロダクションの影響も少なくなさそうだ。

“FIRST BORN”で感じられた気負いが払拭され、全体的にリラックスしたアルバムだ。2人とも洗練された感があるし、ヴァラエティに富んでいて最後まで飽きさせない。多くのアーティストにとっても正念場と言われる2作目、このコンビは上手く切り抜けたと思うが。

EYEDEA & DJ ABILITIES “FIRST BORN”

中西部のMC達にとって、ある種登竜門になっているのが、スクリブル・ジャムのMCバトルである。あのEMINEMをはじめ、JUICE、RHYMEFEST、SAGE FRANCIS、ADEEM、MAC LEATHAL等など。このEYEDEAも、99年の大会で優勝した事によって、その名を世界的に知らしめた。そしてDJ ABILITIESも、そのスクリブル・ジャムでのDJバトルをはじめ数々のコンペティションで名を馳せてきた凄腕DJだ。加えて、ATMOSPHEREのライブ要員として無数のショウを経験してきた2人が、遂にデビューアルバムを発表した。

EYEDEAと言えばバトル・ライム、と思っている向きには”BLINDLY FIRING”と、BLUEPRINTをフィーチャーした”BEFORE AND AFTER”がある。どちらも、流石の出来。音楽賛歌”MUSIC MUSIC”、ヴェトナム帰還兵の物語”MURDER OF MEMORIES”、画家の目を通してアートを語る”COLOR MY WORLD MINE”等、クリエイティヴで素晴らしい曲が続く。

ベスト・トラックは、”READ WIPED IN BLUE”。ゆったりとしたあまりに美しすぎるトラックで語られる、父親への憎悪、幼い頃分かれた母親への郷愁の物語。これはEYEDEA本人の体験なのだろうか?「俺の母親は想像の世界にだけ居る…」、素晴らしい。このアルバムでEYEDEAは、ジョークやバトル・ライムだけのMCではない事を見事に証明した。

ABILITIESに関しては、トラック面よりやはりスクラッチが凄まじい。特に、EYEDEAの「俺のDJが何故ABILITIES(天性の才能)って名前か教えてやるぜ」という呼び掛けから激しいスクラッチに雪崩れ込む”BLINDLY FIRING”は、鳥肌モノのかっこよさ。”POWERED WATER TOO 2″、”COLOR MY WORLD MINE”辺りも素晴らしいし、唯一のソロ・トラック”WELL BEING”に関しては言わずもがな。それに比べトラックは、まだまだ発展途上にあると思う。十分ドープではあるが、EYEDEAのライムを乗せるのは少々勿体無い気がした、といったら言い過ぎか。ドラムはどれもクソドープだが。冬の寒空が目に浮かぶ様な”ON THIS I STAND “、前述の”READ WIPED IN BLUE”、”CLOR MY WORLD MINE”等が聞き所。全曲、これらの曲のレベルだったら、余裕でクラシックになり得たアルバムだろう。

結局、デビュー・アルバムとしては驚異的だが、クラシックまでは後一歩、という事。EYEDEAが素晴らしいためか、トラックの欠点が目立つ、というのが正直な所ではないだろうか。必聴、である事に変わりはないのだが。

OLIVER HART aka EYEDEA “THE MANY FACES OF OLIVER HART OR HOW EYE ONE THE WRITE TO THINK”

EYEDEAがOLIVER HART名義で突如リリースしたこのアルバムを聴く前は、どんなアルバムになっているのか興味シンシンだった。だが、いざ聴いてみると、いたって真っ当なヒップホップ・アルバムだった。ラップは勿論、プロダクションまでEYEDEA本人が手掛けたこのアルバム、内容的には”FIRST BORN”に続くセカンド・アルバムと見て問題なさそうだ。

まず驚いたのは、EYEDEAが全面的に手掛けたプロダクションの素晴らしさだ。基本的には別に新しさは何もないが、良質のループとドラムはクルーのトラックメイカー達を凌いですらいるほど。天才的なフリースタイラーであるだけでなく、こんなに良いビートまで作れるとは!多才だ。中には取るに足らないものもあるが、個人的には、心地良いシンプルなギター・ループからフックの展開が素晴らしい”HERE FOR YOU”と、幻想的な大作”HOW EYE ONE THE WRITE TOO THINK”の2曲が特に気に入った。ただ一言、最高!

さて、ラップの話。EYEDEAとOLIVER HARTの間には大きな差は感じられず(実際、OLIVER HARTの名はリリック中も殆ど出てこない)、OLIVER HART名義でこのアルバムを出した事の意味が良く分からないが、まあ、ドープである事も変わりないので、問題なし。「一つの側面だけで俺を判断するな」という”THE MANY FACES OF OLIVER HART”でのメッセージは、”FIRST BORN”をEYEDEAらしくないと一蹴した者に対する反論だろうか。辛辣な”JUST A REMINDER”でも同様の憤りが感じられる。まあそんなにスネないで。死後の世界を描いた”STEP BY STEP”や、性的虐待というヘビーな題材を扱った”BOTTLE DREAMS”は最高の出来で、流石のリリシスト振りを披露。

結論としては、”FIRST BORN”に良く似たアルバムとなった。数曲の駄曲が存在する所まで、良く似ている。これを”セカンド・アルバム”と呼ぶのが適当かどうか分からないが、そんな事は正直どうでも良い。ドープ・ビーツ + ドープ・ライム = ドープ・アルバム。単純明快。