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LAB WASTE “ZWARTE ACHREGROND”

アングラヒップホップを親父の頭に例えれば、『革新性』という名の頭髪はことごとく抜け落ちて、禿げ上がること甚だしい昨今である。こんな状況下であるから、アンチコンという残った毛髪を褒め称える一部のキッズを除けば、別人の頭にでも目移りしてしまう人多数なのもしょうがない。

話が変わるが、このTHAVIUS BECKとSUBTITLEのチームLAB WASTE、私は2005年のアングラ革マル派ユニットだったような気がしていたのである。というのも、2005年はDOSEの”HA”やAPSCIのTHANKS FOR ASKING” を想起、ひいてはANTI POPをはじめとするエレクトロニカヒップホップの残党かとも思わせるアグレッシブなスタイルは、更にMESSY MARVやTHREE 6 MAFIA、M.I.Aまでも髣髴とさせる雑食性をも忍ばせ、結果的にできあがったものは「アングラとメインストリームの折衷型」という、まぁともかく何がなんだかよくわからない作品なのである。しかし、同じく「折衷型」の作品の生産する人物として圧倒的な安定度を誇るMCENROEよりも、更に良い位置に落とし込まれている作品なのだから侮れない。(MCENROEからは、必死にアングラのビートに「ティンバっぽさ」をつなげとめようと創意工夫を図る努力の姿勢が伺えるけど、LAB WASTEは、何でもかんでも好きなものを放り込んでみたら全部の味が偶然絶妙に醸し出された感じというか…)

そして、その予想外の完成度に加えて、「全てイミテーションである」という事実に、「これがブレイクしたならば、現在のヒップホップの勢力図さえも変わるのでは?」などと大げさに驚いてもみたのだけど、しかしやはり、上段一行目に書いたとおり結果的には単なる「気のせい」に過ぎなかった。親父の禿げ頭にピッタリな、この精巧な『イミテーション』に注意を向ける人は意外に少なかったのである。

(微熱王子)

SUBTITLE & ANONYMOUS “APPROPRIATELY COMPLEX”

西海岸の暗黒変態集団WESTCOAST WORK FORCEから、SUBTITLEとANONYMOUSによるアルバム。99年には完成していたらしいが、3年かけてじっくりと熟成されてズブズブ。

全面的にマイクを握るSUBTITLEは、半数の曲でプロダクションも手掛けている。ANONYMOUSと共に、とにかくダークでシンプルなトラックは、SUBTITLEのデリヴァリーと最高の相性を聴かせていて、ドープ。バックパッカー賛歌とも取れる”BACKPACKERS”を始め、地元L.A.について語る”CENTER COURT”や”L.A. STORY”辺りの救いようのない真っ暗さは、唯一無二。なんとも奇妙なドラム・プログラミングを聴かせる”MESCALINE”、不気味な歌を披露する”DEFINITION OF…”など、ANONYMOUSとのコンビ名義なのに、プロダクション/ラップ両面でSUBTITLEが大活躍。とはいえ、ANONYMOUSも逆回転ビート”ANTIBISTAMINE”や比較的マトモな”BACKPACKERS”などでアピール。TOO SHORTのカバー”FREAKY TALES”なんかは、2人のバックグラウンドが垣間見れるようで面白い。

皆さんお察しのように音質は悪いが、だから?それは、WORK FORCEのトレードマークでもある訳。その音質も含めて、独特の世界観が完成される。ズブズブ。

WEEKEND SCIENCE EXPERIMENT “THE BINARY THEOREM”

ウェストコーストの裏の顔、SUBTITLEとMUM’S THE WORDによるユニットWEEKEND SCIENCE EXPERIMENT。SUBTITLE自身もソロ作品で自らプロダクションを手掛けているが、このアルバムはMUM’S THE WORDの分かりやすいプロダクションによって、聴きやすく仕上がっている。

シンプルに深みのあるデリヴァリーを聴かせるSUBTITLE。ギターループがいい感じの近未来黙示録物語”MY APOCALYPTIC IMAGINATION”を始めとして、面白いトピックを多く扱っている。特に”SHUTTERS”では、エイリアンに誘拐される様が描写されるし、ワックMCならぬワック・プロデューサーを斬るポッセカット”FRAIL BEATS”など、イルだ。

B面はよりストレート。勢い溢れる”WORK IN PROGRESS”やシンプルな”SMITE”などは普通にカッコいいが、ハイハットがせわしない”AWAY WITH WORDS”辺りが個人的にはツボ。”A.D.D”や”UNTITLED”では、いつになくフリーキーなフロウで楽しませてくれるし、”AT HOME”ではSUBTITLEの生活が垣間見れる。

曲間に収められたMURSによるSUBTITLEへのインタビューも面白い。この聴き易さが熱心なファンには物足りないかもしれないが、SUBTITLEは変わらずイル。