MYSTIK JOURNEYMEN “THE BLACK SANDS OV ETERNIA”

PSCとSUNSPOT JONZは、自主制作精神が古くから根付くオークランド・シーンでもヴェテランだ。L.A.シーンの頂点に立つLIVING LEGENDSクルーの中心に位置する2人。多くのクラシックを残しているというだけでなく、彼らがその長いキャリアで残した功績は多きいはず。

前半のハイライトは何と言っても、ポジティヴなリリックを「時が経てば…」と歌う”THE PIANO LESSON”だろう。最高のピアノ・ループ、最高のライム。2人の抑えた語り口も最高にドープで、最高尽くしの逸品だ。こちらも負けじと渋いピアノ・ループの”2 RUDE (VICTIM TO THE RAIN)”も味わい深い。歌うようなフックが、じわりじわりと心に染み入ってきて、何とも言えない心地良さ。少し戻ってイントロ明けの”TIME PREVAILS”における2人のアグレッシヴなデリヴァリー、ウェストコーストファンクが息付いている事を示す”ARAINGUS”、またまた味わい深い”GRAPES OV WRATH”などもドープ。後半には際立った曲はないもの、SUNSPOTのソロ”THE ODYSSEY”、日本人MCが参加した”POOR MAN’S WOES”などで世界に視点を広げたリリックを聴かせてくれる。

ゲスト参加曲の中では、やはりACEYALONEとの”REFLECTIONS”が目玉だろう。人生についての思慮深いリリックをキックする3人の相性も抜群、ACEYの滑らかな語り口は絶品だ。所々に乱入するへヴィーなドラム最高なGROUCHによる心地良いトラックもドープ。そのGROUCH、ASOP、ELIGHが参戦したポッセカット”RAGE”は平均的な出来だが、GROUCH単独参加の2曲”MERCURY RISING”と”LIQUID CEMENT”は良い。特に、後者のアグレッシヴなドラムはタイト。

多くのスキットの短いループも良いモノが揃っているし、PSCとSUNSPOT JONZにライム、語り口は深みを増すばかり。これまでに多くの作品を残してきている事を考えると、驚異的とも言える。買い。