アルバム”SHADOWS ON THE SUN”収録曲”CHAMPION”のリミックスに、新曲8曲を加えたEP。
キャッチー度数数段アップの表題曲”CHAMPION (REMIX)”を筆頭に、このミニ・アルバムは前作”SHADOWS ON THE SUN”の滑らかな延長線上に位置する。ウィット溢れるバトル・ライムに自己顕示、詩的な白昼夢に宗教観。前作で明確にされたBROTHER ALIのペルソナは、40分に満たない本作にも色濃く反映される。
ラガ・フレイヴァーの”CHAMPION (REMIX)”はオリジナルよりも好きだし、80′Sビートに乗せて低所得層の怠惰と悲哀を唄う”CHAIN LINK”はどこか清々しい希望に満ちている。ベスト・トラックは”RAIN WATER”かな。
前作で自らの表現を確立したBROTHER ALIだけあって、本作ではある種の余裕を感じさせる。次作への期待を煽る充実のミニ・アルバム。
BROTHER ALI “RITES OF PASSAGE”
お馴染みSLUGを筆頭に、凄腕MC達が名を連ねるRHYMESAYERS。このBROTHER ALIは若手注目株メンバー。スクリブル・ジャムのMCバトルでは常連であるが、ムスリム信者の彼のリリックは極めて意識の高いもので、このデビュー・カセット・アルバムはそんなメッセージに満ちている。
ALIのデリヴァリーは、極めてオーソドックス。ポジティヴなメッセージをストレートにライムしていくのが、彼のスタイル。そのスタイルを集約していると言えるのが、イントロに続く”WHATEVER”だ。他人を責めずにまず自分を向上させろ、といった自己改革/自己責任について歌っている。「ギャンブルに金注ぎ込むくせに/お互いに投資するのはリスクが高いと思ってる」といった感じ。”NINE DOUBLE EM”では、生き別れた自分の従兄弟を撃ってしまった男を通して、ストリート・ヴァイオレンスの皮肉な物語を綴る。勿論、そういった曲ばかりではない。”ALI BOOMBAYE”はそのタイトル通り、ワックMCを切りまくる。”THE SESSION”では、ヒューマン・ビートボックスに乗せて強力なパンチラインをキック。ヒップホップにおいて、競争は基本中の基本。どんなタイプのラッパーだろうが、こういった曲でスキルを見せて欲しいものだ。
トラックは、1曲を除いてBROTHER ALI本人が手掛けているが、彼のラップスタイルと同じくオーソドックスなモノで、ブレイク・ビーツにワン・ループ。特筆すべき点はないが、なかなかいいループが揃っている。中でも、”THINK IT THROUGH”、”EYE OF THE STORM”、”ALI BOOMBAYE”の3曲は心地よい。ベスト・トラックは、途中からループが変わる”SO DEARLY”。ピアノが美しく、テープというメディアを考えた構成も素晴らしい。
一言でいうと、非常にスタンダードなアルバムである。ライム面でもトラック面でも、90年代初頭の良質なインディペンデント・ヒップホップの空気、といえば分かりやすいか。いい意味でのB級感が隅々に漂うアルバムだ。
ALIのデリヴァリーは、極めてオーソドックス。ポジティヴなメッセージをストレートにライムしていくのが、彼のスタイル。そのスタイルを集約していると言えるのが、イントロに続く”WHATEVER”だ。他人を責めずにまず自分を向上させろ、といった自己改革/自己責任について歌っている。「ギャンブルに金注ぎ込むくせに/お互いに投資するのはリスクが高いと思ってる」といった感じ。”NINE DOUBLE EM”では、生き別れた自分の従兄弟を撃ってしまった男を通して、ストリート・ヴァイオレンスの皮肉な物語を綴る。勿論、そういった曲ばかりではない。”ALI BOOMBAYE”はそのタイトル通り、ワックMCを切りまくる。”THE SESSION”では、ヒューマン・ビートボックスに乗せて強力なパンチラインをキック。ヒップホップにおいて、競争は基本中の基本。どんなタイプのラッパーだろうが、こういった曲でスキルを見せて欲しいものだ。
トラックは、1曲を除いてBROTHER ALI本人が手掛けているが、彼のラップスタイルと同じくオーソドックスなモノで、ブレイク・ビーツにワン・ループ。特筆すべき点はないが、なかなかいいループが揃っている。中でも、”THINK IT THROUGH”、”EYE OF THE STORM”、”ALI BOOMBAYE”の3曲は心地よい。ベスト・トラックは、途中からループが変わる”SO DEARLY”。ピアノが美しく、テープというメディアを考えた構成も素晴らしい。
一言でいうと、非常にスタンダードなアルバムである。ライム面でもトラック面でも、90年代初頭の良質なインディペンデント・ヒップホップの空気、といえば分かりやすいか。いい意味でのB級感が隅々に漂うアルバムだ。
BROTHER ALI “SHADOWS ON THE SUN”
BROTHER ALI本人は、2度と聴きたくないというほど前作を気に入ってないそうだ。確かに、カセット・アルバム”RITES OF PASSAGE”にはありきたりなテーマが多く彼の人間性はあまり見えてこなかったが、良質のサンプルをふんだんに用いたトラック群などもあって、個人的には愛聴していた。だが、セカンド・アルバムとなるこの”SHADOWS ON THE SUN”を聴き終えた後では、彼の気持ちが良く分かった気がする。
先天性色素欠乏症(アルビノ)という、細胞の色素が失われる病気を持つBROTHER ALIは、その病気のせいで如何に辛い思いをしてきたか、そしてイスラム教への信仰がどのような役割を人生に於いて果たしてきたかを、”PICKET FENCE”で赤裸々に語っている。この楽曲は感動的なだけでなく、成長著しいBROTHER ALIの作詞力、表現力を如実に表していて、素晴らしいの一言だ。本作を聴いて驚かされたのは正にそこで、前作からは想像も出来ない程に表現の幅も広がり、自らの人間性をさらけ出した作品になっている。「俺を醜いと言うのは勝手だが/俺からは何も奪えない」と、自らを客観的に見つめつつも「自分に自信を持て」というメッセージを送る”FOREST WHITIKER”が人としてのBROTHER ALIの現在の素直な気持ちだとすれば、「俺はラップしてるんじゃない/魂の祈りを暗唱してるんだ」と語るタイトル曲”SHADOWS ON THE SUN”は、アーティストとしてのBROTHER ALIの姿。”PAY THEM BACK”で「客の半分がラッパーのパーティーをロックする/そいつらの意見を気にするとでも思って俺のライムを分析する」とリスナーにアーティストとその作品に対する敬意を求めている事が、BROTHER ALIが自分の作品に対する自信を確固たるものにした事の端的な表れだろう…と、敢えて分析してみる。
基本的に捨て曲は一切ナシ。地元ミネアポリスを描く”ROOM WITH A VIEW”や、同じアパートに住む自分の子供を虐待する男と対峙する”DORIAN”、よくあるナンパモノかと思いきや実はストーカー・ソングになっていくユーモラスな”PRINCE CHARMING”などではレベル・アップした描写力が堪能出来るし、アルバムを通して彼のデリバリー/フロウの多様性も聴き所だ。SLUGとの抜群のコンビネーションは流石。
全曲を手掛けたANTのプロダクションも素晴らしい。これまでは質にバラツキのあったANTのトラックだが、BROTHER ALIの気合に押されてかANTのキャリアでもベストに入るであろう仕事振りだ。シンプルでソウルフルにまとめている。
欠点もない事はないが、BROTHER ALIは素晴らしいアルバムを仕上げてきたと思う。最高のリリックにフロウ、暖かいトラック。2003年のベスト・アルバムの一つだ。
先天性色素欠乏症(アルビノ)という、細胞の色素が失われる病気を持つBROTHER ALIは、その病気のせいで如何に辛い思いをしてきたか、そしてイスラム教への信仰がどのような役割を人生に於いて果たしてきたかを、”PICKET FENCE”で赤裸々に語っている。この楽曲は感動的なだけでなく、成長著しいBROTHER ALIの作詞力、表現力を如実に表していて、素晴らしいの一言だ。本作を聴いて驚かされたのは正にそこで、前作からは想像も出来ない程に表現の幅も広がり、自らの人間性をさらけ出した作品になっている。「俺を醜いと言うのは勝手だが/俺からは何も奪えない」と、自らを客観的に見つめつつも「自分に自信を持て」というメッセージを送る”FOREST WHITIKER”が人としてのBROTHER ALIの現在の素直な気持ちだとすれば、「俺はラップしてるんじゃない/魂の祈りを暗唱してるんだ」と語るタイトル曲”SHADOWS ON THE SUN”は、アーティストとしてのBROTHER ALIの姿。”PAY THEM BACK”で「客の半分がラッパーのパーティーをロックする/そいつらの意見を気にするとでも思って俺のライムを分析する」とリスナーにアーティストとその作品に対する敬意を求めている事が、BROTHER ALIが自分の作品に対する自信を確固たるものにした事の端的な表れだろう…と、敢えて分析してみる。
基本的に捨て曲は一切ナシ。地元ミネアポリスを描く”ROOM WITH A VIEW”や、同じアパートに住む自分の子供を虐待する男と対峙する”DORIAN”、よくあるナンパモノかと思いきや実はストーカー・ソングになっていくユーモラスな”PRINCE CHARMING”などではレベル・アップした描写力が堪能出来るし、アルバムを通して彼のデリバリー/フロウの多様性も聴き所だ。SLUGとの抜群のコンビネーションは流石。
全曲を手掛けたANTのプロダクションも素晴らしい。これまでは質にバラツキのあったANTのトラックだが、BROTHER ALIの気合に押されてかANTのキャリアでもベストに入るであろう仕事振りだ。シンプルでソウルフルにまとめている。
欠点もない事はないが、BROTHER ALIは素晴らしいアルバムを仕上げてきたと思う。最高のリリックにフロウ、暖かいトラック。2003年のベスト・アルバムの一つだ。
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