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CAPITAL D & MOLEMEN “WRITER’S BLOCK (THE MOVIE)”

CAPITAL DがMOLEMENと共に、母体ALL NATURALの代表曲の一つ”WRITER’S BLOCK”の名を冠したアルバムをリリース。副題に”THE MOVIE”とあるように全曲ストーリーモノというコンセプト・アルバムだ。

元々ALL NATURALとMOLEMENはよくコラボレートしてる訳で目新しさはないが、このアルバムでCAPITAL Dは、自身のストーリーテリング・スキルの高さを存分に披露している。淡々とした冷静沈着なデリヴァリーはハードボイルドな雰囲気すら醸し出す。流れ弾の犠牲になる一般市民を描写する”CROSSFIRE”や友人を蝕むドラッグの物語”DU’S (STEVIE WONDER)”、金が人間に及ぼす影響をキャラクターの背後に浮かび上がらせる”PAPER CHASE”に”CURRENCY EXCHANGE”、そして現代女性を取り巻くシングル・マザー等の問題を扱う”CAUSE & EFFECT”や”YOUNG GIRL LOST”等など、社会問題を取り上げたモノも良いが、近所に住む老女の物語”MRS. MANLEY”が個人的にはベスト。エモーショナルだ。

THE MOLEMENのトラックは、基本的にいつも通りシンプル。どのトラックもCAPITAL Dが語る物語を引き立てている。”WRITER’S BLOCK PT.2″、”MRS. MANLEY”、”CAUSE & EFFECT”辺りは特に気に入った。”MIDNIGHT”などのインタールードも良いね。

CAPITAL Dのリリックはなかなか良いし、MOLEMENのトラックも昔に比べ質が上がってきていて、充実している。何かいつもと違う事をやってみて欲しいのも事実だが。

MOLEMEN “BELOW THE GROUND / BURIED ALIVE”

シカゴのタレント集団MOLEMENが自身のレーベルから発表したアナログを一枚にまとめて、新曲を加えた自主アルバム。正にシカゴ・オールスターといった趣だ。

ココでの主役は、JUICEとVAKILLの2人と言い切ってしまいたい。フリースタイル・レジェンド、JUICEだが、PNSによるギターループがドープな”PERIOD”、シンプルなピアノが良い”FREESTYLE OR WRITTEN”、2曲ともバトル・ライムとフリースタイル・スキルを最大の魅力とするJUICEの本領発揮。どちらもドープだ。JUICEよりも若干複雑なリリック構成を持ち味とするVAKILLは、音楽ビジネスやワックMCを攻撃する”KNOW THE BITTNESS”や”FINYL THOUGHT”で、その巧みなスキルを披露、特に前者はMIXX MASSACREの哀愁漂うトラックがドープ。他にも、同じくシカゴのバトラーRHYMEFESTの”PREPARE FOR THE FEST (ORIGINAL MIX)”はドープ。

後半のポッセカットの中では、RHYMEFESTとJUICEが共演した”HOW WE CHILL PT. 2″が、PANIKによるストリングス・ループが最高のクラシック。JUICEとRHYMEFEST、2人共絶好調です。元COLD CHILLIN’クルーのGRAND DADDY I.U.が何故か参加した”FACE DOWN”、シカゴのベテランE.C. ILLAがRUBBEROOMと組んだ”TASTE OF CHICAGO”の2曲は普通の出来。VAKILLとJUICEのコンビにもう一人の大ベテラン、ブロンクスのPERCEE Pが加わった”KEEP THE FAME”は、PANIKが良いトラックを用意しただけあって、なかなかの出来。

ほぼ全曲を手掛けるPANIKだが、質のばらつきが激しく全体のバランスを崩しているのが勿体無い。それでも、幾つかの素晴らしい瞬間をもたらしてくれるJUICEやVAKILLなどのMC陣は申し分ない。シングルを持っていない方は、是非。

MOLEMEN “CHICAGO CITY LIMITS VOL.1″

シカゴといえばMOLEMENということで、アルバム・タイトルにもあるように、今回の参加MCは全て地元シカゴで固めている。リリック的にもシカゴを扱ったモノが多く、ある意味コンセプト・アルバムと言ってもいいかもしれない。

前作の最大の問題点は、プロデューサー・アルバムであるにもかかわらずサウンド面で”この1曲”といえる曲がなかった事だと思うが、今回はありました。PNS手掛ける”CONJUGATION OF A WOMAN’S NAME”がそれだ。その幻想的で広がりのあるサウンドがとにかくドープで、シンプルな構成だが詩的なOFFWHYTEのライムを最大限に演出している。とにかくドープ!ノスタルジックなライムが良いFAMILY TREEの”FAMILY TIES”は、”T.R.O.Y.”を引用したそのライムと暖かいトラックが最高に調和していて郷愁を誘う。SEELの女ネタ”FALLIN”も、定番ブレイクながらスムースなループが気持ち良い。VAKILLやJUICE等はお馴染みのバトルライム。タイトなパンチライン。

主役のMOLEMENだが、基本的に前作の延長線上にある。3人ともDJ PREMIERの影響からナカナカ抜け出せないようで、ミニマムなフリップ・トラックがメイン。そんな中、PNSは”CONJUGATION OF A WOMAN’S NAME”や”FALLING”などの幻想的なトラックで一際目立っていて、一歩リードしている。MEMOは、今回唯一のインタールード”DEAD BEAT MC’S”で、PANIKは”FAMILY TIES”で、それぞれ心地良いループを聴かせてくれているが、それ以外では可も不可もない仕事振りだ。これを安定と取るか退屈と取るかで、評価は大きく変わってくると思う。個人的には、少々退屈したのが正直な所だ。

今作は地元で固めたからか、前作よりもまとまった印象を受けるが、MCに寄りかかった作りであるという点はまだ改善されておらず、残念。全体を包み込む暖かい空気は捨てがたいし、何曲かに彼らの未来を感じる事が出来たので、今後の動向が楽しみではある。

MOLEMEN “RITUAL OF THE…”

シカゴを中心に活動する、MOLEMEN。HIS-PANIK、PNS、MIXX MASSACRE、MEMO、DJ PRESYCE等のDJプロデーサーを始め、PRIMEやVAKILLといったMCで構成される彼らは、地元シカゴのアーティスト以外でも、SOLEやRASCO等ともコラボレイションしている。これは昔の音源やリミックスを含む実質的なデビュー・アルバム。

アンダーグラウンド・オールスターと言った感じの面子が参加しているが、やはり、地元シカゴの面子が大半を占めている。その中では、VAKILLの”THE EQUINOX”が一押し。バトル・ライムでスキルを見せる。 勿論JUICEは相変わらずタイト。TYPICAL CATSのQWEL、RHYMEFEST、MASS HYSTERIA、MATLOCK、PRIME、皆ドープはドープなのだが、トピックが似たり寄ったりで今ひとつスッキリしない。単体で聴く分にはいいんだけど、これだけ続くと、ね。トラックにしても同じで、何とも歯切れ悪い感じ。特に、新旧シカゴの裏の顔EC ILLAとRUBBEROOMが競演した”TASTE OF CHICAGO”は、トラックが完全に負けている。RUBBEROOMって事で、やっぱOPUSと比べちゃうでしょ。

外部とのコラボでは、SLUG, AESOP ROCK, MF DOOMのヴィデオ・ゲームを題材にした”PUT YOUR QUARTER UP”がやはり素晴らしいが、”CHALLENGE ME”が個人的にアルバムのベスト・カット。ニューヨークの若手注目3MCによるマイク・リレー。個人的にC-RAYZ WALZは今、一番アルバムが聴きたいMCで、勿論ここでもくそドープ。彼のクルー、STRONGHOLDのアルバムも要チェック。SLUGの”HOW I WON THE WAR”は、まあまあなトラックにいつものスムーズなフロウで、違った側面を加えている。流石。”GAMES”ではBUCK 65とSIXTOOのデュオ、SEBUTONESが、妖しいトラック上で相変わらず憂鬱だ。「何故こんなに惨めなのか?」…..因みに、GRAND DADDY IUやPERCEE Pは顔見せ程度の出来。

彼らのトラックは、時にシンプルすぎて退屈なこともあるが、このアルバムでは多彩なMCを上手く配置して、最後までダレることなく聴かせることにある程度成功していると思う。要所要所のインタールードはドープ。MCとの曲でもこのクオリティを保ってれば、と思うと勿体無いが、無い物ねだりはヤメヤメ。何か新しいもの、ずば抜けた芸術性を求めるリスナーには物足りないと思うが、ポイントを押えたビートに、調子いいMC達 。とり合えず、水準以上ではある。