“A BOOK OF HUMAN LANGUAGE”がコンセプチュアルな傑作だとすれば、この”LOVE & HATE”は、最早何も証明する必要のなくなったACEYが、リラックスして作り上げた最高のACEY流パーティー・アルバム。ELUSIVEと二人三脚で作り上げた前作”HIP HOP AND THE WORLD WE LIVE IN”とはうって変わって、テンションの高いトラックが並んでいる。ユーモラスな”LOST YOUR MIND”から、AB RUDEと抜群のケミストリーを聴かせる”THE SAGA CONTINUES”まで、絶妙なバランスだ。どんなトラックでも完全に自分の物にしてしまうタイミング、抑揚には今更ながら感心してしまう。リリック的に最もタイトなのは、愛と憎しみの微妙なラインを散文的にライムしてゆくタイトル曲”LOVE AND HATE”で決まり。パーティー色の強いアルバムの中でも、最もACEYらしさを感じさせるリリカル・マスターピース。PROJECT BLOWEDの顔が揃った”SO MUCH PAIN”の2曲では、BLOWEDファンには堪らないマイクリレーが堪能できる。
プロダクション面で話題を独占しそうなのはRJD2だろう。控えめなEL-Pを尻目に、直球ファンク”LOST YOUR MIND”、最もRJD2らしいエレクトリックな”TAKE OFF”、アコースティックギター使いでメランコリックに迫る”MOONLIT SKIES”と、それぞれ異なったタイプの楽曲を提供。ACEYALONEとの相性も予想以上で、文句無しにアルバムのハイライトになっている。勿論、PMGやFAT JACK、RIDDLOREといったお馴染みの面子も充実した仕事振りでACEYをサポート。
“A BOOK OF HUMAN LANGUAGE”と共に、ACEYの代表作となるであろう隙のないアルバムに仕上がった。創作意欲の問題だろうか、なんとなく尻つぼみになっていくベテランが多い中、ACEYは未だに初期衝動を失っていない様に見える。凄まじい。
