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PEOPLE UNDER THE STAIRS “O.S.T.”

PEOPLE UNDER THE STAIRSのサード・アルバム。

プロダクションを担当するのは、勿論THES ONEとDOUBLE Kの2人。これまでのアルバムから何ら変化のない、ファンク・サウンドを選りすぐりのサンプルで奏でている。だが、安易なネタ使いが目立った前作に比べ、本作ではフレッシュなネタ選びで楽しませてくれる。”THE HANG LOOSE”は、オールドスクール丸出しのラップと共に彼らの音楽性を象徴するパーティーチューン。先行シングル”JAPPY JAP”などはもう一ひねり欲しい所だが、”THE OUTRAGE”や、ラガMCのODELLを迎えた”O.S.T.”はアルバムの良いアクセントになっている。スムースな所では、”THE BREAKDOWN”が突出している。アルバムの締めくくりに相応しいメロウ・トラック。シンプルな”EMPTY BOTTLES OF WATER”やキュートな”TALES OF KIDD DRUNKADELIC”も良い。

ライムも相変わらず。パーティーや地元L.A.賛歌、ネタ掘りの哲学。極めてオーソドックスなフロウは、トラックの雰囲気と良くマッチしているが、それ以上でもそれ以下でもない。

ハッキリ言って、やってる事はこれまでの2作品と全く同じなので、既にそれらを持っている場合はこのアルバムを買う意味があまりないとは思う。良質なアルバムである事に間違いはないんだけど。

PEOPLE UNDER THE STAIRS “QUESTION IN THE FORM OF AN ANSWER”

極めて素朴とも言えるヒップホップ賛歌ライムと、それを体現するサンプリング・サウンド。THES ONEとDOUBLE KのデュオPEOPLE UNDER THE STAIRSは、デビューアルバム”THE NEXT STEP”でそういったイメージを強烈に印象付けた。このセカンド・アルバムでも路線に変更がある訳もなく、極めて質の高いオーソドックスなヒップホップサウンドを鳴らし続けている。

THES ONEのサウンドは、勿論絶好調。イントロに続く”CRAZY LIVE”から、ライヴ感の強いドラムを始めとする有機的なプロダクションが全快。イケイケな”YOUTH EXPLOSION”は、これこそキラーチューンといった風格を備えていて、間違いなく彼らの代表曲の一つだろう。ドープの一言。ギターサウンドが心地良い”CODE CHECK”や”YEHAW PARTYSTYLES”、”JULY 3RD”などはTHES ONEプロダクションの真骨頂。”STAY HOME”でのホーン使いや、”EARTH TRAVELERS”でのこれまたスムースなギター、メロディアスな”THE CAT”、そしてジャズ濃度100%の”WE’LL BE THERE”も、リリック的には聴くべき所はないものの、THES ONEによる美しいプロダクションが存分に堪能できる。”43 LABELS I LIKE”では、THES ONEがジャズ/レアグルーヴ・レーベルを列挙、トラック・メイカーならではの視点だ。ドープ。

しかしながら、”BLOWIN’ WAX”や”GIVE LOVE A CHANCE”、”E BUSINESS”などの独創性の無いネタ使いを聴くにつれ、彼らの所謂”掘り師”としての限界を露呈しているように感じてしまった。先が見えていると言うか。定番ネタを使うなら、もっと上手いやり方があると思うのだが。

驚異的なプロダクションが聴ける曲もあるものの、いかんせん数曲の駄曲と退屈ですらあるライムが足を引っ張っていて、アルバムとしての完成度は前作には及ばない。元々サウンドが売りのグループだと感じていただけに、定番ブレイクはまだしも、既に使用されたネタをほぼそのまま使っている辺りに幻滅してしまった。次回作に期待したい。

PEOPLE UNDER THE STAIRS “THE NEXT STEP”

西海岸のヒップホップには、他の都市のそれにはない底抜けの明るさのようなモノがある。HIEROクルー、PHARCYDE、UGLY DUCKLING、JURASSIC 5しかり。そして、このTHES ONEとDOUBLE Kの2人組PEOPLE UNDER THE STAIRSも例外ではない。ジャズ/ファンクを基調にしたトラックもさることながら、ユーモラスなライムもそういった伝統を踏まえているかのよう。デビューアルバムだ。

オーソドックスなデリヴァリーの2人のラップだが、ヒップホップ賛歌からユーモラスなストーリーテリング、パーティーモノまで、身軽だ。とはいえ、このアルバムの主役はやはり、ほぼ全曲をTHES ONEが手掛けたサウンドだ。一言で言うと、最初から最後までとにかくジャジー。哀愁漂うダークな”DEATH OF A SALESMAN”やホーンが良い”HARDCORE”、レアグルーヴ感の強い”WANNABES”、どれも良いが、メロウなジャズ・ギターが心地良い”MID-CITY FIESTA”での中盤のネタの重ね方や、同じくギターが印象的な”SAN FRANCISCO KNIGHTS”でのヴォーカルサンプルの使い方、”TIME TO ROCK OUR SHIT”の終盤の展開などは、効果的で唸らされる。他にも、”THE NEXT STEP Ⅱ”は正しくファンキーだし、”ASSHOLE”の荒々しいドラムやファニーな”PLAY IT AGAIN”なども捨てがたい。特にエレクトロニックな”D.A.R.E.”での、ラスト一分に登場するキーボードは筆舌にしがたいドープさがある。

特別個性的である訳ではないのだが各曲の質は極めて高く、個人的にはとても好印象。彼らの音楽には、確かなグルーヴがある。的を得たライムに練られたループ展開、無意識に首が動いてしまうドラムブレイクの数々。ヒップホップの楽しさを忘れないためにも、彼らのような存在は貴重だ。