DADDY KEV “LOST ANGELS EP”

レーベルCELESTIALを主催するDADDY KEVは、これまでウェスト・コーストのMC達は勿論、SOLE等にもビートを提供してきた。5人のMCをフィーチャーしたこのEPは、独特のこもったビートを堪能できる。

“FIRST THINGS LAST”でのMIKAH 9の、ピアノに合わせたフロウにまずは度肝を抜かれる。長いキャリアに裏打ちされた驚異的なリズム感。口笛のソロも最高で、ベスト・トラックだ。怪人BUSDRIVER の”BLOWED ANTHEM”では、へヴィーなベースが疾走するトラックで、相変わらず抑揚の激しい独特のフロウが炸裂する。PEACEの”WALKING ON WATER”は、スローで妖しいトラックが、PEACEのフリーキーなフロウを際立たせている。続いては、変態集団SHAPE SHIFTERSからCIRCUS。”THE STUFF’S REALLY WACKO”で彼は、定番ネタを使ったトラックを全く新しい解釈で乗りこなす。おなじくSHAPE SHIFTERSから、DADDY KEVとのコンビ・アルバム”SOUL DOUBT”で相性の良さを証明済みのAWOL ONE。”LICK ME I’M FAMOUS”も、当然バッチリだ。シンプルなベース/ドラム・トラックで居心地の良さそうなフロウを聞かせる。

残りはインストで…と言いたい所だが、全て1分程のスキット的なもの。

まあ、入門編といったEPだ。MCに頼った作りと言えなくもないが、一歩引いた音作り、と解釈しておこう。インスト曲など、自分のエゴを出した曲がないのも、MCを立てる事に徹した彼の信念と言うかビート・メイカーとしてのスタンスが如実に現れているように感じる。