DREAMWEAVERS “DREAMWEAVERS”

LIVING LEGENDSの面々はとにかく多作だが、ビート・メイカーELUSIVEも例外ではない。ビート集を始め、 LEGENDS勢へのビート提供、多くのウェスト・コーストMCを集めたソロ・アルバム等、常にビートを作り続ける姿勢にまずリスペクト。L’RONEOUSについては、”IMAGINARIUM”を聴いた人には説明不要だろう。驚異のデリヴァリーとそのリリックで一躍多くのリスナーの指名手配リストに載った男だ。そんな2人が、DREAMWEAVERSというユニット名を掲げて、アルバムをリリースした。

L’RONEOUSだが、そのフロウは衰えていないものの、トピックの幅に若干不満が残る。残念ながら、多くの人が期待する様なコンセプチュアルな曲は望めない。自己顕示/スキル・モノが多くを占め、それ自体はいいが、彼はパンチラインに長けたMCではないので、やはり場違いだ。”BEHIND MY BROWN WINDOWS”級の曲がもう少し多ければだいぶ違っただろうに….

話をビートに移そう。ELUSIVEのビートは、全体に弱くグルーヴに欠けるモノになってしまっている。”DW THEME”、”FRUITION”、”TEMPTATIONS OF THE FLESH”、”CO2″、 “CHECK OUT MY MECHANICS”等に顕著だ。だが、”HEAVY WEIGHTS”、”DREAMWEAVERS”などでのドラムはタイト。ベストは、やはり”THEY SAY”に落ち着くだろう。

個人的な感想だが、2人の相性に関しては少し疑問が残る。L’RONEOUSには、”IMAGINARIUM”の時のような重たいビートがシックリ来るように思うし、ELUSIVEのビートには、L’RONEOUSのようなストイックなMCではなく、もっとカラフルなデリヴァリーのMCの方が、時に単調にもなる彼のビートには合っているのではないか、と思う。

残念だが、お互いに最高のスキルをぶつけあっているとは言い難い。以前の作品に比べL’RONEOUSのテンションは明らかに下がっているし、ELUSIVEのトラックも的外れな物が多い。良い曲も当然あるが、悪い曲が足を引っ張っていて、アルバムの印象を悪くしている。そういったマイナス点を差し引いても”悪いアルバム”ではないが、この2人のユニットなのだから、この程度で満足とは言えない。この先、このユニットからのリリースがあるとは考えにくいが、それもそれ程残念ではない、というのが正直な感想だ。