FARM FRESH “PLAYED OUT (1994-1996)”

カナダを代表するレーベル、PEANUTS & CORNの土台となったFARM FRESHのリリース/未発表曲をまとめたアルバム。FARM FRESHとは、WICKED NUT、RODDY ROD、BOBA FATTのトリオ….というより、PIP SKID、MCENROE、DJ HUNNICUTといった方が通りが良いか。破竹の勢いを続ける彼らの原点が詰まっている。

まずは、94年の録音となる1曲目から6曲目まで。サウンド的には、この時点で既に現在の独特のモノトーンなベースラインや流れるような作風がある程度完成されていて、唸らされる。この中では、トラックの出来も含めて、エイリアン・アブダクションを扱った”SPACE”3部作が聴きドコロか。フルートに音が美しい”OUTROLUDE”も聴き逃せない。

7曲目から19曲目までは95年の録音。牧歌的なトラックで童貞喪失をライムした”HUGS & KISSES”なんてのもあるが、鐘の音が印象的な”8 BELLS”、スネアが耳に突き刺さる”TYLER’S IN THE COAL PARENT”、フックのハーモニカが最高な”I’LL TAKE YOU HOME”、深い所に連れて行かれる”SPACE PT. Ⅳ”など、MCENROEの素晴らしい仕事振りが堪能できる。選りすぐりのドラムもドープ。

そして残すは、3曲は96年の未発表曲。この中では、エスニックな雰囲気の”TREHERNE”が突出しているが、勿論オーソドックスな”CHECK THE TRACK”、ジャジーな”REPETITION”もタイト。

未熟な点を敢えて探すとすれば、MCENROEの若さを感じさせるラップと定番ブレイクを使いまくっている所ぐらい。MCENROEのプロダクションは既にオリジナルだ。PIP SKIDも今とあまり変わらぬタイトなマイク/リリカル・スキルを聴かせてくれている。これまでのPEANUTS & CORN作品のファンであれば、このアルバムも期待に応えてくれるだろう。