FREK SHO “PEOPLE IN YOUR NEIGHBORHOOD”

FREK SHOは、SHAZZAM、SPOOF、ISMAILA、SUNIL、GRUF、GUM、LEGENDにDJ GRASSHOPPERを加えた大所帯。一風変わった連中が多いカナダ・シーンの中でも異彩を放つグループだ。SUNILのプロダクションも含めて、極めてオリジナルなアルバムになっている。

イントロに続いての”UNCIVILIZED”は、全メンバーによるマイクリレー。シンプルなトラックがラップを引き立てる。エロネタ”STRIP”では、中近東風のトラックがドープ(ベースも唸ってます)で、男のストリッパーから夢精の話まで!狂ってます。プロレス中継みたいなストーリーモノ”KINGPIN”は、SUNIL、GUM、SHAZZAM の3人がワンヴァースずつ担当し、それぞれ変わるトラックもドープ。ISMAILAのソロ”THE COMET”は、なんと言ってもISMAILAのメロディアスなフロウが良い。音楽とドラッグ・ディールを交差させたライムもドープ。”COLLECTOR”は、SHAZZAMのソロ。怪しいトラックが、息子が誘拐されるんじゃないか、という恐怖に怯える父親の心情を詳細に語ったライムを最高に演出。それにしても、こんなコンセプトがあったとは。

ビート的には、SPOOF、ISMAILA、GRUFの3人が道徳心の無い男の物語を聴かせる”ELEGANT MESS”がベスト。とにかくドープだ。皮肉っぽいパーティーモノ”LIFE OF THE PARTY”も良い。”LINDA’S TRIPPIN”は、クリントンのスキャンダルでモニカ・ルインスキーとの会話を録音した、あのリンダ・トリップの話。ラストを締めくくる”PEOPLE IN YOUR NEIGHBORHOOD”は、ヴァースごとに違うトラックが用意され、さらにその繋ぎに又違うループが。SHAZZAM、SPOOF、SUNIL、GRUFの4人も、クリエイティヴなトラックに合わせるかのように最高のパフォーマンスを披露、ホモ嫌いをはじめ、さながら”メイフィールドの怪人”的な郊外の変人達を演じている。最後の最後にアルバムのベストカット。

稚拙ながら奇妙でオリジナルなトラック、最高のコンセプト、タイトなマイクリレー、とにかく面白いアルバム。こんな連中が人知れず製作に励んでる訳だから、ほんとにカナダは面白い。