JOSH MARTINEZ “BUCK UP PRINCESS!!!”

JOSH MARTINEZの新作アルバムはツアー会場と一部のオンライン・ストアでのみ手に入れる事が出来るという不親切なモノだが、その内容は間違いなく彼の最高傑作だろう。全く同じアートワーク、タイトルによるVOL. 1に数曲の新曲を加えた事で、全く隙のないアルバムに仕上がった。

ファンならずとも注目はやはり、JEL、MAKERとのコラボレーション曲。結論から言うと、JOSH MARTINEZを中心に据えたMAKERに軍配が上がる。レーベルメイトのGOVERNOR BOLTSが印象的なフックを歌う”UPHILL CLIMB”のメロウネスも捨てがたいが、流れるようなグルーヴがなんとも心地良い”OUT THERE”が最高だ。JOSH MARTINEZも実にリラックスした感じで、独特のフロウに磨きがかかっている。どちらも彼の魅力を最大限に引き出した傑作。

勿論、他の曲も最高の出来。MCENROEとの”FORGED”と”RAINY DAY”は共に既発曲だが、2人の相性の良さはやはり格別だ。特に”RAINY DAY”は2人のベストワークの一つだろう、何度聴いても素晴らしい。とは言え、個人的なベスト・カットを選ぶとすれば、”ANOTHER DAY”を推したい。こうした叙情的で情景豊かなトラックでこそ、JOSH MARTINEZは最高に映える。盟友MOVESが牧歌的な”HARD FALL”や”BC TREES”とは一転して、黙示録的なトラックを用意した”MUNKS INNA BUNKER”も良い。死についての寓話的なリリックとの相性も良く、何でもない日常を詩的に表現するのが得意なJOSH MARTINEZにとっては異色だ。

音楽的に非常にレベルの高いアルバムで、JOSH MARTINEZにとっての最高傑作だろう。良い感じで右肩上がりのキャリアを積んでいる、と言えるかも。願わくば、もう少しマトモなデストリビューションを!