JOSH MARTINEZ “JOSH MARTINEZ & THE HOODED FANG”

JOSH MARTINEZの魅力は、独特の声とデリヴァリー。感情が滲み出て来るような自らの声をトラックに溶け込ませ、知的さと病んだユーモアを混在させたリリックを聴かせてくれる。

この自主アルバムで、JOSHは素晴らしいフロウに加えて、リリックに幅広いトピックを持たせている。”DIABETIC DIALECTIC”では、人種問題や女性差別について知的にライム、詩的な才能を垣間見させてくれる。セクシャルな”DON JUAN DEMARCO”、ヒップホップをプロレスになぞらえた”RAPSTLING”等で、優れたデリヴァリーとリリカル・スキルを披露している。

トラックは当たり外れがあるが、シンプルながら9分近い曲をダレルことなく聴かせる”DIABETIC DIALECTIC”やピアノ・ループにシンセ絡む”EXILE”、スムースな”DON JUAN DEMARCO”(レコードノイズが凄いが)、美しいループにドラムがマッドな”HELLENISTIC MYSTIC”等、聴き所は多い。他にも、BUCK 65による”ABSENCE OF TORCHES”の哀愁漂うメロディも捨てがたいし、冒頭のダビーなドラムに持っていかれる”TRAVELLING”もドープだ。

カナダには多くの優れたアーティストがいるが、JOSH MARTINEZはそんな中でも突出したオリジナリティを誇っている。曲の出来にバラツキはあるものの、何曲かの優れた曲は聴き逃すのは勿体無い出来だ。