KILLER MIKE “MONSTER”

OUTKASTがCOLUMBIA傘下に新設したレーベルAQEMINIからの一発目は、OUTKAST”THE WHOLE WORLD”での客演でデビュー前にしてグラミーを獲得したKILLER MIKEのアルバム。

DUNGEON FAMILY MC’Sの中では珍しく、ストレートに力で押しまくる感じのKILLER MIKEの力量は可も不可もなくといった感じだが、DUNGEON FAMILYによるカラフルなプロダクションのお陰か、アルバムを通して退屈する事はない。パワフルなフックが最高のパーティー・チューン”AKSHON (YEAH!)”のやかましいドラムが刻むオールドスクールなリズム・パターンは、正しく”THE WHOLE WORLD”のハードコア・ヴァージョンといった感じだし、サイケデリックな”A.D.I.D.A.S.”でのSLEEPY BROWNが歌うフックのいやらしさとか、南部独特の泥臭いロック/ファンク感覚が炸裂する”SEX, DRUGS, RAP & ROLL”とか、このクルーにしか出来ない、正にオリジナルなヒップホップ。

曲名からして挑発的な”RAP IS DEAD”は、ヒップホップの現状を嘆きつつ、2 PACやB.I.G.と共にジョン・レノンやカート・コベインの名も違和感なく挙げてくる辺りに彼らしさを感じる事も出来るし、ストリート・ライフの行く末を諭したり、セックスをユーモラスに語ったりとトピック的にも幅広い。”SEX, DRUGS, RAP & ROLL”なんて曲が出来るのも、DUNGEON FAMILYならでは。

曲によってはKILLER MIKEのMCとしての存在感が希薄な瞬間があったりもするが、このクルーが生み出す万華鏡のようなオリジナル・ヒップホップ・サウンドには、そんな事を気にさせない程の魅力に溢れている。