LAZERUS JACKSON “CRIME”

LAZERUS JACKSON、4年ぶりの新作は勿論SUNSET LEAGUESから。着実に評価を高めつつあるDISFLEX 6を始めとするSUNSET LEAGUESクルー、その中でも随一のリリシストであるLAZERUS JACKSONによるこのセカンド・アルバムは、その評価を確実なモノにするだろう事を確信させるハイクオリティな仕上がりに。

LAZERUSの、独特の甲高い声から繰り出されるテクニカルなデリヴァリーは、正に玄人好み。聴けば聴くほど味の出るMCだ。MERCURYとのユニットP.B.S.でも多く語られていた社会派トピックは、”GENTLEMAN’S AGREEMENT”や”TIME DONE”、 MERCURYとの”INTERROGATION”といった曲に集約されるが、本作ではLAZERUSのリリカル・スキルをより明確に押し出した曲が多く、唸らされる。LAZERUSとARGONAUTがそれぞれのストーリーを通して男女間の信頼を語る”TROUBLE IS (CHEATING GAME)”、ポエティックな魅力が光る”CARRY THE ONE”、ほのぼのとした”LIQUID SMILES”などでは、地に足のついたトピックを豊富なヴォキャブラリーで巧みに語る。クライム・ストーリー”SYNCHRONIZED MINDS”も良いし、”HIP HOP POLICE”での凄まじいデリヴァリーも圧巻だ。

サウンド面では、ARGONAUTがほぼ半数を担当、確かな成長を感じさせる充実した仕事振りで楽しませてくれる。一方、EHNERTIAは”ALL MOST”でメロウながら一筋縄ではいかない展開を聴かせてくれるし、ELON.ISも”PHYSIQUES”などの確かなグルーヴでライムを演出している。

トラックの充実度に加えLAZERUS自身の成長もあって、前作を遥かに凌ぐアルバムになった。SUNSET LEAGUESのリリースの中でも突出した完成度といっても良いだろう。レーベルの入門編としてもお勧め。