MAKER “HONESTLY”

シカゴはTHEM BADD APPLESクルーから、サウンドを担うMAKERのソロ・アルバムが届いた。インストを中心とした18曲、極上のビーツ集。

THEM BADD APPLESなどのアルバムでは不穏な空気を漂わせたダークなサウンドを展開していたMAKERだが、この”HONESTLY”では、”LOST AT LAST”に代表される叙情的で味わい深いサウンドを聴かせてくれていて、作風の幅の広さを見せ付ける。哀愁漂うピアノ・ループが悲しげな”MANGLED BABY DUCKS”のドラム・プログラミング、ネタ使いなどから、MAKERがJELの影響を受けている事は明らかだが、何をしてもファンクに仕上げるJELと違い、MAKERのトラックはよりブルージーだ。ピアノやホーンがタイトル通り冬を思わせる”PIECES OF WINTER”、シンプルな出だしから緊張感を増す展開に引き込まれる”TENDER”など、イルな要素は控えめに淡々と風景を描き出す。

さて、MCをフィーチャーした曲の中では、”ROLEMODEL”がベストだ。GLUEとは、MAKER、即興マシーンADEEM、ANIMAL CRACKERSのDJ DQによるユニット。ADEEM”SWEET TALKING YOUR BRAIN”でも共演済みのMAKERとADEEMだが、今回も躍動感溢れるギターループとADEEMのデリヴァリーが最高の相性を聴かせる傑作で、今後出るといわれるアルバムが楽しみな限りだ。

THEM BADD APPLESやCOSTUMEとの仕事振りも良かったが、ADEEMやJOSH MARTINEZのアルバムへの参加でだいぶ作風に広がりが出た。2002年には他にもQWELのセカンド・アルバムにも参加するらしいし、今後が面白くなりそうなトラック・メイカーだ。