DEVIN THE DUDE “JUST TRYIN’ TA LIVE”

ODD SQUADのメンバーでもあるDEVIN THE DUDE。テキサスの老舗レーベルRAP-A-LOTのSCARFACEに次ぐ才能だが、これまで商業的には今一つ成功に恵まれていないのが、ファンにとっては残念である。DR DREのモンスター・ヒット・アルバム”2001″でも一際異彩を放っていたし、満を持してのセカンド・アルバムと言える。

独特の飄々とした立ち振る舞いそのままに、歌とラップの間を行き来するDEVINのマッタリとしたヴォーカル・スタイルは、まるで聴き手一人一人に語りかけてくるようでもあり、独り言を呟いているようでもある。ラップにしても歌にしても、酒と草とでヘロヘロって感じのルーズなデリヴァリー。白人のオヤジにスラングの発音を教えたり、愛車のダメ具合を切々と語ったりと、マイペースなDEVINのペルソナを象徴するかのようなリリックも、ユーモラスだ。

そんなDEVINに触発されてか、大物2人もここ最近のベスト・ワークを聴かせてくれる。”IT’S A SHAME”では、DR DREがトレードマークになりつつある麻薬的なピアノに情感溢れるサックスとフルートを加えたかと思えば、”DOOBIE ASHTRAY”ではDJ PREMIERが堪らなくブルージーに迫る。MIKE DEANらお馴染みの面子も、当然のように高水準な仕事でフォロー。

唯一、RAPHAEL SAADIQが参加、プロデュースも担当した”JUST A MAN”はDEVINの良さを活かしきっていないが、母体ODD SQUADを招いた”FA SHO”ではタフなドラムにエッジの利いたギターを塗し、持ち直している。

良作の多い2002年のヒップホップ・アルバムの中でも、ベストの一つ。本国での評価と、日本でのそれのギャップが激しかったSCARFACEの二の舞にならない事を切に望むばかり。てっきり、何処かの大メジャーに移籍でもしてリリースするものだと思っていたのだが、そんなトコも彼らしいかも。