PIPI SKID “FUNNY FARM”

名前にIが一つ増えたPIPI SKIDの、ソロでは2001年の”FRIENDS 4EVER”以来となるセカンド・アルバム。プロダクションは勿論MCENROE!

昔から政治的側面の強いリリックが目立つPIPI SKID、今回もイラク戦争絡みでアメリカ批判を繰り広げるだろう事は承知していたが、そうした楽曲(”WMD”、”THESE COLORS DON’T RUN”など)よりも、孤独や疎外感、怒りといったどうにも出来ないフラストレーションを吐露する”JEALOUSY”、”ALONE AGAIN”や、定番とも言える労働階級の愚痴爆発ソング”5:20 AM”、現実逃避型アル中のテーマ曲”BEER MONSTER”のような楽曲の方が個人的には好みだ。潔癖症の男が主人公の”GERM WARFARE”などでは、彼らしいユーモアも。

全曲のプロダクションを担当したMCENROEは、当然のように安定した質の高さをキープしている。若干淡白になった感はあるが、PIPI SKIDの歯切れの良いエナジー溢れる力強いフロウには、MCENROEのトラック以外は考えられない。”8 TRACK BLUES”はタイトル通りブルージーなギター使いで、近年のMCENROEの音楽的嗜好が如実に表れていて興味深い。

去年のPEANUTS & CORNの驚異的なほど質の高いリリース群と比べると幾分か地味な印象は拭えないが、オリジナリティを確立したアーティストの強みというか、肩の力がいい感じで抜けた好アルバムだ。

蛇足だが、エンハンスト仕様にて収録されたPIPI SKIDが自宅を紹介するミニ・ドキュメンタリーは面白かった。素っ気無い部屋に並べられたレコードの中にSHINGO2が…