PIP SKID “FRENDS 4EVER”

FERMENTED REPTILEのWICKED NUTことPIP SKIDのソロアルバム。PIP SKIDのラップを聞くと、3RD BASSのPETE NICEを思い出すのだが、歳がばれるね、こういう事言うと。ともかくPIP SKIDだ。

ライムの内容は政治的なというか、社会批判的な題材が主だが、無理矢理探してきたようなモノではなく、身近な内容である所に共感が持てる。悲しげなストリングスがドープな”HYPOCHONDRIAC”では健康問題、”TRUE BLUE”では人種問題を、”GUN LOBBY”はタイトル通り銃問題について歌い、、ポッセカット”LONG LIVE BRUCE WILLIS”では、シュワルツネッガーなどのアクション・スターを例に出して、ハリウッドのアクション映画が与える偏見、悪影響を指摘している。”テロリスト、移民が俺たちを殺そうとしてる!/ブルース・ウィルスよ永遠なれ!”皮肉の効いたサビが最高だ。MCENROEがマイクを握った”DISH PIG”では、低賃金でこき使われる皿洗いの視点から労働者階級の置かれている状況をライム。

P & Cの頭、MCENROEは、同レーベルからの作品の殆どの音を担当しているが、それはこのアルバムも例外ではない。独特の、ウッドベースを基本にしたクリスピーなドラム。カナダの霧深い森を思い起こさせるようなトラックで、ドープ。個人的には、”HYPOCHONDRIAC”と”LONG LIVE BRUCE WILLIS”の2曲がベストかな。情緒溢れる前者と、勢いのある後者、対極だがアルバムの方向を決定している。

ドープなトラックに、タイトなラップ、コンセプト。全体的に寒い冬の雰囲気というか、P & Cのほかの作品にも通ずる、どんよりとした天気のような空気が漂うアルバム。数あるP & Cレーベルのアルバムの中でも、特にお勧めの一枚だ。