QWAZAAR “WALK THRU WALLS”

TYPICAL CATSからQWELに続いて、QWAZAARがソロ・デビュー。TYPICAL CATS以外にもOUTERLIMITZというグループにも属している彼、このソロ・アルバムにはそのメンバーがゲスト参加、CATSとの差別化を図っている。

名刺代わりといった感じの”ARRIVAL”から、”10:34″、”CHICAGO”、”ALIEN RACE”と、まずはバトル・ライムが続く。アルバムの大半を占めるこうしたバトル・ライムだが、独特の宗教的なボキャブラリーは、充実した出来のトラックも併せて、どれも良い。中盤のソウルフルなトラックがタイトな金モノ”GET PAID”やバトルモノ”MORE BS”、”DESERT EAGLE”などは悪くはないが、一歩秀でるにはトピックが普通すぎる。特に草ネタ”QUANTUM LEAF”は、あまりにポップすぎるトラック(少なくとも、”GET PAID”位がギリギリだろう)と使い古された内容が最悪だ。そういった意味では、”HEAVEN’S MIRRORS”のような思慮深い内容のモノの質が高い。ロックなギターに乗せての恋愛モノ”I TRIED”も悪くない。スムースなトラックが良いポッセ・カット”T.T.G.P.”は、タイトルの”TIME TO GET PAID”どおり、いい加減タダじゃラップしないぜ、という事。OUTERLIMITZの”IT ENDS TONIGHT”はドープだが、アルバムのトリを務める”F.U. FRONTLINE”は少し弱いかな。

QWAZAARのフロウやリリック、モノトーンなトラック等、全体に独特の雰囲気を醸し出している。通常ソロ・アルバムと言うのは、グループの延長線上にあるか、個人のカラーを前面に出しグループとの差別化を図るかのどちらかだと思うが、彼らTYPICAL CATSの面々は後者のようだ。実際、QWELとQWAZAARのアルバムを聴いて、2人の違いがより明確になったと思う。ただ、バランスを取ろうとしたのか、何曲かやたらとポップな曲があり、それが逆にバランスを崩しているのが勿体無い。多くの曲で驚異的なデリヴァリーを聴かせているだけに、余計に気になった。