オムニバス “STRENGTH MAGAZINE PRESENTS…SUBTEXT”

スケーター雑誌STRENGTH監修のヒップホップ・コンピレーション。ROB SWIFT(ニューヨーク)やA-TRAK(カナダ)を除いて、西海岸のビッグ・ネームが多数参加。

ACEYALONEの”RAPPERS, RAPPERS, RAPPERS 12 FOR 10″は、EVIDENCEのシンプルなプロダクションとACEYのフロウの相性があまり良くないし、LOOTPACK”BONE MARROW”も同様に平凡な出来。前半のハイライトは、DELの”CYBERPUNKS”で決まりだ。曲名通りDELのフューチャー・ライムが炸裂するこの曲は、DEL自身の手によるトラックも最高だ。うねるベースに疾走するドラム、DELの流れるようなフロウも絶好調。ドープ!DILATED PEOPLESやDIVINE STYLERは随分とこじんまりとまとまっているが、ウェスト・コーストの最終兵器MOTION MANは、”CLEARING THE FIELD”で真骨頂と言えるファンキーなフロウを聴かせているし、AB RUDEと組んだAWOL ONEも相変わらず独特の世界観で異彩を放っている。が、全体的に地味かな。

おとなしめなMC達とは対照的に、DJ達は元気だ。DJ DESIGNのダビーな”LEVEL FIVE”を筆頭に、A-TRAKが超絶スクラッチを聴かせる”UMBILICAL CHORD”、GUDTYMEなるMCをフィーチャー、ROB SWIFTのカットとのコンビネーションも絶妙な”EARTH’S A TURNTABLE”、そしてBEATJUNKIESのJ-ROCCとBABUによるTHE BUMRUSH BROS.の”YOU AIN’T FREASH”と、どれも最高にファンキー。

曲間に収められたMADLIBによる短いブレイクは、このアルバムを一つにまとめるのに一役買っている。際立った曲があまりないためか、似た空気感を持った曲が多いためか、アルバムの統一感は保たれていて、非常にシンプルでマッシヴなサウンドがアルバム全体を覆っている。

決して一曲一曲の質は低くないのだが、全体的に小さくまとまっている感は否めない。そんな中、DELの”CYBERPUNKS”だけはずば抜けた出来で、この一曲だけのために買う価値はあるかもしれない。DJ達も絶好調だし。