オムニバス “URBAN RENEWAL PROGRAM”

俗に言うエレクトロニカのレーベルの中でも、ヒップホップ・リスナーに最も知名度が高いのは、CHOCOLATE INDUSTRIESだろう。このコンピレーション”URBAN RENEWAL PROGRAM”も、彼らが意識的にそうした層に向けて音楽を発信してきた事が明白なカタログになっている。

ヒップホップ・シーンに於いて、最先端をひた走る2つのレーベル、DEF JUXとANTICONからの楽曲がやはり強力。EL-Pの作り出す騒々しい混乱の中を、AESOP ROCKのパワフルなヴォーカルが戦車の如く突進する”TRAIN BUFFER”、5分弱の間に見事なドラマを構築するRJD2のインスト曲”TRUE CONFESSIONS”、DOSE ONEの特異な個性とJELのブルージーなファンク感覚が融合した大作”THISBOUTTHECITYTOO”の3曲は、アルバムの中でも突出した出来であるだけでなく、ヒップホップが未だに独創的で多大な可能性を持った表現方法である事の証明でもある。凄まじい!

WHILEの不穏な”HAZE-3″やCAURALの透明感溢れる”OUR SOLSTICE”などは魅力的、DJ FOODの”AEROSOLILIQUE”は荒々しいリズムと壮大な世界観が圧倒的で素晴らしいし、PREFUSE 73の絶妙なポップ感覚も捨てがたいが、前述の3曲ほどの包容力を持った楽曲を前にしては、いかんせん分が悪い。

前述の3曲がアルバムの良い位置に配置されている事もあって、後味の非常に良いコンピレーション。ただ、こうした選曲だと、CHOCOLATE INDUSTRIESというレーベルのスタンスが微妙になってくるような気もするが。