ELIGH “SIDEWAYDAZE”

ELIGH、98年のアルバム。このアルバムでも、ほぼ全曲のビートも自ら手掛け、まじりっけのないELIGHワールドが隅々にまで感じられる。

冒頭の”POSITIVE DREAMS”は、印象的なイントロダクション。ELIGHの、様々な事柄から人生について語る詩的なリリックは、アルバムを通して貫かれている。自伝的な”ONE DAY”では、RICK RICKなるキャラクターを通じて、ELIGH自身の歴史が語られる。初めてのビート製作から、LEGENDSの面々との出会い…素晴らしいストーリーテリング。運命の女性は何処に、と問う”INTRUSIVE LADY”、人生に2度目があったら?そんな誰もが抱く希望から人生を掘り下げる”SECOND CHANCES”、自らを解き放って助けを探せと歌う”PAIN (LET IT GO)”まで、ポジティヴなELIGHの人間性が垣間見れる。他にも、コマーシャルなヒップホップを新たな視点から批判する”MAKESHIFT MESSAGE”、ファンタジックな”THE OWL AND THE RIVER”、電気やガス会社を批判する”ELEC. TRICKMAN!!”、LEGENDSが成し遂げた功績をライムする”99 OUTERS”などでも、ELIGHは常にハズさない。

ビートも勿論フレッシュ。全体に、お馴染みのLEGENDS節全快だが、浮遊感のある幻想的なループに、打ち込み中心のラウドでナスティなドラムが、何とも言えずドープだ。

多作なELIGHだが、アルバムの質には曇りがない。ウェスト・コーストの多用な音楽性を感じさせるビートに、リリカル・コンセプト。文句なし。