AWOL ONE & DADDY KEV “SLANGUAGE”

“SOULDOUBT”、”NUMBER 3 ON THE PHONE”に続く、お馴染みAWOL ONEとDADDY KEVコンビの最新作は、MUSHから。スクラッチはD-STYLES!

この”SLANGUAGE”は、これまでの2人の作品とは一線を画すアヴァンギャルドなアルバムに仕上がっている。過去のアルバムでは1曲1曲が単体で独立していたが、このアルバムは、一貫したトーンの中に様々な要素が無造作に放り込まれ、感触はフリージャズのアルバムのよう。3人のアーティストのまるで即興のようなパフォーマンスは、どれもがでしゃばる事は無く混沌としていて、トリッピーだ。GREENTHINKの”BLINDFOLD”や、BOOM BIP & DOSE ONEの”CIRCLE”に近いかもしれないが、決定的な違いはD-STYLESの存在で、文字通りジャズ・ミュージシャンのようにDADDY KEVのインストゥルメンタルにユニークな表情を持たせている。中でも、DADDY KEVが叩く生パーカッション上でのアイディア豊富なD-STYLESのスクラッチは、本作最大のハイライト。構成も見事の一言だ。

そういった意味でも、最大の功労者はDADDY KEVと言って良い。ここまで優れたコンポーズが出来る人だとは、正直思っていなかった。AWOL ONEとD-STYLES、それぞれに見せ場を用意し、巧みに配置している。

曲単位で語る類のアルバムではないだろう。MUSHのレーベル・カラーにマッチした佳作だ。が、完成度の高さと引き換えに、以前のようなキャッチーなヒップホップ然とした魅力が失われている辺りに、漠然とした寂しさを感じるのも確かだ。