SACH “SUCKAS HATE ME”

”THE NONCEの….”などという紹介はもういらないだろう。”TAGS OF THE TIMES 3″収録の傑作”L.I.F.E. GIVES”が新たな代表曲となったSACH。染み入るようなデリヴァリーと知的なライムは、彼の最大の魅力。所属するクルー、GLOBAL PHLOWTATIONSのバックアップを受けての新作だ。

オーガニックなトラックがまずは面白い。ADLIB手掛ける奇妙なリズムがくせになる”TRIANGLE”や、”ILLUSTRATIONS”のO.D.によるリミックスなどは普通にドープだが、SACH自身によるトラックがやはり興味深かった。ヴァイヴが心地良い”MIRACLE”、奇妙な”FOR THE LOVE OF HIP HOP”や”ILLUSTRATIONS”、ドラムがSACH節の”INTRODUCING THE TOPOLOGY CREW”、ジャジーな彼の嗜好性が全開の”ON COURTING: A PHONOGRAPH”、そして説明しようのない怪しさを放つ”I LIVE ON”、どれも全くのオリジナル。パーカッションの響きが良い”BLACK EARTH”では、自らトランペットも吹いている。

リリカル的には、”BLACK EARTH”や”TRIANGLE”での豊富なヴォキャブラリーとか、ZAGU BROWNとの”ILLUSTRATIONS”や”ON COURTING: A PHONOGRAPH”での真摯な正直さに惹かれる。確実なデリヴァリーも併せて、味わい深い。

“L.I.F.E. GIVES”のようなキラー・カットが欲しかった、という点で物足りなさを感じるのも事実だが、それでも充分に満足できる作品だ。L.A.らしいオーガニックな肌触りは、何とも中毒になる。