SCARUB & VERY “AFRO CLASSICS ?”

LIVING LEGENDSのSCARUBと、元US PROSのVERYによるアルバム。”AFRO CLASSICS”と言うアルバムタイトル通り、サウンド/ライム両面で黒人としての誇りを全編で扱ったコンセプトアルバムだ。

LEGENDS周辺の作品は、これまでも非常にウェスト・コーストらしいと言うか、さんさんと降り注ぐ太陽光が眩しかったが、今作では日差しが一層強まっていて、カリビアンと言うかエスニックな雰囲気に満ちている。今回、放浪を続ける彼らが行き着いた先は南米だった訳だ。ライム的にも非常にコンシャスで、それもあるのだろう、アルバム全体にノスタルジックな(古いと言う意味では勿論ないよ)空気が漂っている。

コンシャス、つまり意識の高いリリック。黒人としての誇り、メディアの嘘などをライムした曲が今作のテーマ。カリビアンな”TRUE LIES”は曲名そのままだし、ドラムが走る”SHIPWRECKED”では奴隷制度から公民権運動、”PUBLIC RELATIONS”では社会の構造自体についてライム、ELIGHはいつも通りハンサムだ。スムースな”BLACK BEANS AND DIRTY RICE”が個人的にはお気に入り。TIEMBE LOCKHEARTのファンキーな歌声が最高。タイトなドラムにハードなスクラッチが絡む”AFROCLASSICISM”は、比較的オーソドックスだが、レゲエ・フレイヴァーを取り入れたポッセカット”DON’T WORRY”はトラックも含めて、流石の出来。”NATION TIME”は、正に”ブラックパワー”といった趣だ。

当然、サッカーMCモノや自己顕示モノもしっかり押さえている。”SPOT LIGHT”は、正にLEGENDS印といった浮遊する奇妙なループが良い感じ。ラテン風のホーンがファンキーな”C.P. TIME”、ギターリフがキャッチーな”BB QING”、スムースなギターが心地よい”HELLO”、イレギュラーなドラムが奇妙なグルーヴを作り出す”BLOCK PARTY”、どれもオリジナリティと知的なライムに溢れている。

ステレオタイプ、と言われるかもしれないが、”AFRO”という単語から想像するサウンドが詰まっているアルバムだ。リリック面でもコンシャスなモノが目立っていて、そのコンセプトを強く印象付けている。トラック的に、キャッチーだったりダンサブルなモノが多いので、数あるLEGENDS作品の中でも、非常に取っ付き易いアルバムになっていると思う。彼らの作品に興味はあるけど何処から手を付けて良いか分からない、という人には入門用に最適だ。