CMA “OVERALL”

それぞれも多くのソロ・アルバムを発表しながら、クルー内で活発なコラボレーションを繰り返すLIVING LEGENDS。今度は、MYSTIC JURNEYMENのPSCとGROUCHのユニット、CMAだ。

取り敢えずは、イントロに続いての”THE CMA”が素晴らしい。GROUCHによるドープ過ぎるプロダクションと、抜群のコンビネーションを聴かせるPSCとGROUCH。強気にスキルをアピールする”OVERALL”、MURSを迎えてウェストコースト・ファンクを展開する最高のパーティーチューン”U MIGHT KNOCK THIS”、ECLIPSE 427によるスムースなトラックがドープな”THE BEST”などでも、2人のスキルの高さはハッキリしている。ありきたりの題材を面白く聴かせる事が最も困難な訳。中でも際立っているのが”2 HELP THE WEAK.END”だ。タイトルからも分かるように、ワックMCへの哀れみとも取れる言葉とライヴ会場での技術的なトラブルをかけたライムが面白い。

勿論、彼らは自らのスキルをアピールするだけのMCではない。特に”FREE WILL”では、2人の道徳観が垣間見れるリリカル・マスターピース。”WHY I CREW”ではPEP LOVEと共に、同じ志を持つ仲間達へのメッセージをキック。世界中を旅し続ける彼ららしい旅行記”ROAD TRIP”や人生について語る”WHATCHAHERE4?”、ジャジーなトラックで自己を探求するディープな”INTROSPECTIONS”もドープ。サクラメントのTHE CUFからN8 THE GR8を迎えた”SOULEDOUT”では、金と音楽についての考えを正直に吐露。彼らの心からの言葉には、素直に共鳴する。

GROUCHを始めとするプロデューサー陣も最高の仕事振りだし、GROUCHとPSCのライムも相変わらず高水準。ソロ作も良いが、こういったコラボレーションにはやはり興奮してしまう。2人の相性も良いし、視点の違いも興味深い。まあ、ファンには必携のアルバムである事は言うまでもないが、それ以外の人も是非。あ、高水準の作品を手の届きやすい形で毎回届けてくれるMARY JOYに、改めてリスペクトと感謝を。