COUNT BASS D “DWIGHT SPITZ”

COUNT BASS D。95年には自らの生楽器の演奏によるアルバム”PRE-LIFE CRISIS”で大メジャーSONYからデビューを果たすも、時代の先を行くそのサウンドはまだ一般には早すぎたのか、97年にはセカンド”ART FOR SALE”をアンダーグラウンドでリリース。幾つかのシングルに続いてのサード・アルバムとなるこの”DWIGHT SPITZ”は、期待以上の素晴らしい内容に仕上がっている。

このアルバムで突出しているのは、何と言ってもCOUNT BASS D自身がほぼ全曲を手掛けたプロダクションだ。結論から言って、とにかく文句の付けようのない素晴らしい出来。ソウルフル/ファンキーが基調になっているものの、肌触りは明らかに異色。EDANをフィーチャーした”HOW WE MET”の透明感はハウスといっても良いほどだし、”NO TIME FOR FAKIN (PART 2)”での定番ネタの新鮮な響かせ方などは素晴らしすぎる。ドープ!メロディアスなネタ使いも上手く、インタルード”REAL MUSIC VS. BU11$#!+”や曲名通り夏に向けての最高のBGMになるであろうインスト・トラック”AUGUST 25, 2001″、女性ヴォーカルとこれ以上ない絡みを聴かせる”SEVEN YEARS”などなど、とろける様な心地良さにやられっぱなし。1分前後の多くのインタルードも最高で、その短さが苛立たしくさえ思えてくるほど。”ANTEMERIDIAN”で彼自身が語っているように、自分の事をMCよりもプロデューサーと認識しているのだろう、外部のMCとのコラボレーションが是非聴いてみたい限り。

MCとしてのCOUNT BASS Dの個性がそれ程見えてこない点はマイナスだが、このアルバムで彼はプロダクション・スキルの驚異的な高さをまざまざと見せ付けた。FAT JONなどと比べても全く遜色はないだろう。アルバムの構成も完璧と言って良い。2002年上半期に於いて、最もシッカリとプロデュースされたアルバムの一つだろう。凄い。