COUP “STEAL THIS DOUBLE ALBUM”

THE COUPは、BOOTS RILEYとDJのPAMの2人のオークランドのグループ。この度、彼らのサード・アルバムがボーナストラックとライブ盤を加えて、嬉しい再発だ。4年の歳月を経ても、未だに新鮮なクラシック。

彼らの魅力は、フロントマンBOOTS RILEYのリリックと、それを最大限に演出するサウンドだ。その好例が、7分に及ぶ”ME AND JESUS THE PIMP IN A ‘79 GRANADA LAST NIGHT”。ハープの音色も美しいファンキーなトラックに乗せて、売春婦の母親を持った男と、彼の父親代わりだったピンプの数奇な運命を見事にライムする。物語の構成や人物描写、結末まで全てが素晴らしく、物語の中に自然とコンシャスなメッセージを盛り込む辺り、正に一級品だ。”BUSTERISMOLOGY”や”CARS AND SHOES”、”THE REPO MAN SINGS FOR YOU”なども、コンシャスなメッセージを生活感溢れる題材とユーモアの中に溶け込ませていて、唸らされる。

生バンドを主体としたサウンドは洗練とは無縁だが、BOOTSの粘っこいフロウとの相性も最高だし、徹底的にファンキーかつブルージー。素朴なまでのP-ファンク・サウンド。”FIXATION”程のブルーズ感は、出そうと思ってもそうそう出せるもんじゃない。今回の再発のお陰で、ようやくライヴも聴く事が出来た。生で見たいね、本当に。

THE COUPは既に4枚ものアルバムを出しているのに、今一つ過小評価されている。今回の再発で、一人でも多くの人に彼らの魅力が届くと良いのだが。もうこのアルバムを持ってても、ライヴ盤が付いてる事だし。

そう言えば彼らは、デビューはWILD PITCHからだった。つくづく良いレーベルだったなー。