DAVID BANNER “MTA2 : BAPTIZED IN DIRTY WATER”

前作のヒットが豪華なゲストの面子に見事に反映されたソロ2作目。

短い制作期間や豪華なゲスト、といった要素から推測できるように、前作の肝だった溢れ出るようなエモーションは薄れ気味。とは言っても、殆どがセルフ・プロデュースによる充実のトラック群や、”LIKE A PIMP (REMIX)”で飛ばしまくるTWISTAとか、ストリートは愛しているがこのゲームにはもう疲れたぜとぼやく”THE GAME”での相変わらず深すぎるSCARFACEの語りっぷりとか、ツアーに出ては女とファックする”GOTS TO GO”でのDEVIN THE DUDEのユルーいサビとか、ゲスト陣の好演もあって楽しめる楽曲が揃っている。

アルバムは、冷酷なまでに無機質なクランク系、メロディアスでブルージーな哀愁系に分けられる。前者では”TALK TO ME”や”CRANK IT UP”、後者では”MY LORD”、”THE GAME”、”LIL’ JONES”辺りが期待通りの素晴らしい出来。ベスト・カットは、「クリスマスなのに金も職もねーから盗むんだよ」という無茶苦茶なサビが最高な”THE CHRISTMAS SONG”。ゲトーにクリスマスなんてねーんだ、と歌い上げる。

前作ほどの中毒性や深みはないが、ファンには満足のいくアルバムに仕上がっている。プロダクションの質の高さは相変わらず。佳作。