DEFARI “L.A..S OWN BILLY THE KIDD PRESENTS… THE SALOON MUSIC LP”

DEFARIが、BILLY THE KIDDなる別名でリリースしたアルバム。これといったコンセプトも感じられないし、古い曲や他人の曲まで収録しているので、わざわざ別名で出す必要があったのか甚だ疑問だが。西部劇から取ったインタールードがなかったら、普通のDEFARIの未発表曲集といった感じだ。

ハイライトは、EVIDENCEがドープなピアノ・ループを用意した”SAY IT TWICE”だ。クラシック”BIONIC”程ではないが、DEFARIのもたり気味のラップとのコンビネーションはやはり良い。”DEVELOP TOOLS”も、JOEY CHAVEZによるダークなピアノ・ループが深みへと誘ってくれるし、アルバムも終わろうという所でE-SWIFTが良い仕事を残している。DEFARIと同じくLIKS周辺のソロMC、PHIL DA AGONYの”CLEAR THE LANE”と、DEFARIの初期音源”BIG UP”がそれ。オルガンのメロディが妖しい前者に、ぶっといベースが這い回る後者、どちらもE-SWIFTが絶頂期にあった頃の仕事を思い起こさせてくれる。

前述のようなドープ・チューンが揃っていながら、アルバム全体の印象があまり良くなかったのは、あまりに耳障りな女性ヴォーカルやDEFARIのラップとトラックが全く合っていない”THE UNFORGETTABLE”や、フックが酷すぎる”REAL NOT FAKE”の責任だろう。良い曲もあるのに、勿体無い。