一曲目を飾るのは、WEATHERMENによる”SAME AS IT NEVER WAS”。EL P、MHZ、CANNIBAL OX、BREEZLY BREWIN、YAK BALLZ、MASAI BEY、CAGEらが所属するスーパーグループだが、ココではMASAI BEY、CAMU TAO、COPYWRITE、VAST、EL Pが参加。そのEL Pによる未来的宇宙ビート上でのマイクリレー、圧巻だ。最初のハイライトは、DEF JUXヴェテランMR LIFと、西海岸はLIVING LEGENDSからDEF JUXに参戦したMURSが、正に夢の共演を果たした”SNEAK PREVIEW”。EL Pの跳ねたビートも良いが、主役は断然MURSとMR LIF。甲乙付け難い最高のパフォーマンスで圧倒する。2番目のハイライトはMASAI BEYの”PAPER MACHE”。重たいフロウは、彼がBMS的な存在になっていくであろう事を予感させるし、EL Pのビートも病んでいる。最後のハイライトはやはり、御代EL Pの新曲”STEPFATHER FACTORY”だ。最早スポークン・ワードと言って良い抑えた語り口のSFライムが炸裂した新たな傑作だ。
その他にも、聴き所は満載だ。MHZのCAMU TAOの”HOLD THE FLOOR”は、奇妙なビートにCAMU独特のフリーキーなフロウが最高のドープ・チューン。MHZのCOPYWRITEをフィーチャーしたソロ名義シングル”JUNE”以来、成長著しいRJD2のインスト”I LIKE YOUR DEF JUX BABY TEE”は、最早珍しくも何ともなくなったインストゥルメンタル・ヒップホップに新たな魅力を加えている。SONIC SUMのフロント・マンROB SONICの自作自演曲”FU FOR FAILUR UGLY”もイルだし、”MIC MOLEST”でのATOMS FAMILYによるマイクリレーも凄まじい。甲高い声で病んだラインをキックするYAK BALLZの”FREAK SHOW”も、良い。MONDEEのタフなドラムも最高だ。
とはいえ、完璧ではない。セルフ・プロデュースのAESOP ROCK”DEAD PAN”は少し弱いし、MR LIFとOPIOの”FULCRUM”はドープだがココには場違いだ。EL PとVASTの”DR. HELL NO & THE PRAYING MANTIS”もビートが期待はずれに終わってしまっている。
とにかく、全く迷いが無い辺りが頼もしい。EL P以外にもRJD2やMONDEEなどの優れたトラックメイカーがいるし、AESOP ROCKにCAN OX、MHZ、MURS、MR LIFなど一流のMCも揃っている。このコンピレーションは、今年もDEF JUXの年になる事を高らかに宣言している。既にリリースされたAESOP ROCKの”DAYLIGHT EP”やこのコンピ第二弾を始め、MR LIFやMURS、EL P等のアルバムが控えている訳だから、暫くは彼らがシーンの中心となる事は明白だ。