ARTIFACTSのセカンドが97年だから、5年も経つ訳だ。それでも、あまり不在感が無かったのは、多くの印象的なシングルのお陰かな。EL DA SENSEIのデビュー・アルバム。
イントロに続く”RELAX”が、アルバムの方向性を決定付けている。最高にスムースなファンクネスを奏でるトラックに、EL DA SENSEIの余裕のフリースタイリング。”90年代のフロウ”と言っていて、それは確かだが、彼の語尾を下げる独特のライミングは、普遍的な魅力を備えている事は言うまでも無い。オリジナリティの重要性を説くスクラッチ・スキット”BE ORIGINAL”から、ヒップホップ・ヒストリーの講義”QUESTIONS AND ANSWERS”までが、リリック面でのアルバムの肝だろう。トラックにしろラップにしろ奇をてらった所のないアルバムだけに、こうしたメッセージは懐古趣味と取られかねないが、まともな耳を持ったリスナーなら、時代遅れの年寄りの愚痴でない事は分かりきった事だろう。
お馴染みP ORIGINALやJ. RAWLSを除くとほぼ無名のプロデューサーが名を連ねているが、例外なく最高の仕事を聴かせてくれる。中でも、”SO EASILY”と”SUMMER TIME BLUEZ”を手掛けたMALITOが光っている。結構前の曲だが、”FRONTLINE”も最高のポッセ・カットに仕上がっている。
アルバムに一貫して流れるポジティヴで解放的なヴァイヴは、SEVEN HEADSのレーベル・カラーともマッチしているし、何より初のソロ・アルバムだと言うのに気負いを全く感じさせない辺り、ヴェテランの貫禄だ。自己顕示欲とは無縁なのか、それとも揺ぎ無い自信の裏返しか。どちらにせよ、充実した文句の付けようの無い内容だ。
