ELON.IS “ATOMIK AGE”

ELON.ISのプロフェッショナル・プレスによるニュー・アルバム。様々なゲストMCやスッキリとまとまったアートワークなど、気合の入り方が違うようで、これが本格的なデビュー作と言ってしまっても良いかも。

さて、主役のELON.ISのプロダクションだが、これがかなり進歩していて驚かされた。多用されるヴァイオリンなどの弦楽器ネタは独特だし、ただダークなだけでなくある種神秘的な奥行きを演出している。律儀なまでに淡々とリズムを刻むへビーなドラムは、相変わらず麻薬的。インスト曲はどれも良いが、空を覆う分厚い雲の隙間から差し込む一筋の光のような”US (OUTRO)”は、重苦しい空気で統一されたアルバムを最高の形で締めくくる。

アルバムの黙示録的なコンセプトを最も体現しているのが”HATE MAKER”。都会に巣食うゴブリンの呟きの様なリリックに説得力を持たせるDUBLINのデリヴァリーは面白い。要注目のMCだ。他には、ELON.ISも所属するクルーSUNSET LEAGUESのMC達をフィーチャーした”FEVER”や”MINUTES TICK/TIME PIECE”など、聴き所は多い。

“ROCK THAT”や”HORSESHOES & HANDGRENADES”のような駄曲もあるが、全体的に見るとこれまでの作風を維持しつつ確かな成長を感じさせる事に成功したアルバムと言える。優れた作品を多くリリースしながらも、今一つ流れを作り出せずにいるSUNSET LEAGUESの底上げのためにも、著名なゲストMCを多数招いた次回作をお願いしたい。