オムニバス “EUPHONY”

ATOMS FAMでお馴染みのレーベル、CENTRIFURAL PHORCE RECORDINGSから、ATOMS FAMとその周辺のアーテストが集合したコンピレーション。

目玉はやはり、AESOP ROCKとCAN OXのVAST、WEE BEE FOOLISHのYESHUAによるコラボレイション、”SINISTER”だろう。CRYPTICのシンプルでダークなビート上でのマイク・リレー。だが個人的には、渋い声でドープなライムを吐くLODECKに注目したい。DESPOTとの”CYNICAL BASTARDS”(本作のベスト・トラック)、ソロ曲”STETHOSCOPE ALLEY”両方とも、トラックを含めこのアルバムのハイライトだ。このブルックリン在住のMC、LODECKの名は覚えておいた方がいい。ドープ!ATOMS FAMからは、ALASKAとWIND N BREEZEによるユニットHANGER 18の”PRISON”、CRYPTICのソロ”HALF LIFE”は自身が手掛けるトラック含め、一押しだ。そのCRYPTICは、ALASKAとのユニット、ITの”EFF THE HEARD 97″でも再登場、特筆する所はないが、タイトだ。

AESOP ROCKの”WATER”は、オペラのような女性ヴォーカル・ループに持っていかれる。AESOP ROCK程のMCにしか似合わないトラック。”COMA”のリミックスはイマイチかな。THE PRESENCEは、NASA(CAN OXのアルバムなどを手掛けたエンジニア)のドロドロのトラックがいい感じ。真っ暗な曲が続く中、BLUEPRINTのビートによる2曲、”WOKE UP THIS MORNING”と”TIME TO UNRAVEL”は二筋の光的な役割で、特に前者はBLUEPRINTが最高のピアノ・ループを聞かせてくれる。サビのホーンが何とも…。

個人的に、コンピレーションのの最大の魅力はボーナス的なコラボレーションと、新たな才能に出会えるところだと思っているのだが、このアルバムはその両方を満たしている。”SINISTER”とLODECK。それだけでも(勿論それだけじゃないんだけど)、”買い”の一枚だ。