オムニバス “FOOLBLOWN PRESENTS INSIDE OUT VOL. 1″

テキサスのオンラインショップ、FOOLBLOWN監修のコンピレーション。シーンを代表するアーティストから、どちらかと言うと無名に近いアーティストまで、地域を問わず参加している。

このコンピレーションのハイライトは、次の3曲。ATMOSPHEREの”THE ABUSING OF THE RIB”におけるANTのプロダクションは、素晴らしいの一言。メロディアスなピアノ・ループが、SLUGの美しいストーリー・テリングを際立たせていて、正にクラシックだ。続く”THE TUGBOAT COMPLEX”は、AESOP ROCKによるクラシック。”ハンマーがあったら、竹馬の上に街を造る/そうすれば、神のワインがグラスからこぼれても俺の足は濡れないだろ”、AESOPのリリックは驚異的だ。シンシナティを代表するリリシストILLOGICは、”VERBAGE”で最高のプロダクションを得た。幻想的なBLUEPRINTによるサウンドは、淀みまくったGREENTHINKの後だけあって、より美しく響く。ILLOGICの滑らかなデリヴァリーもソウルフル。

アルバムのオープニングを務めるGREENHOUSE EFFECTの”IN SYNC”は、悪くは無いがアヴェレージ。ATMOSPHEREと同じくミネソタのグループODDJOBSの”NORTH”は、CRESCENT MOONとADVIZERのスムースなデリヴァリーがジャジーなプロダクションと融合して、心地良い。SIXTOOは”TRAPDOOR”でいつもながらのダークな世界観を繰り広げていし、GREENTHINKの”I LOVE ART !”では、ODD NOSDAMがより狂ったプロダクションでDOSE以下お馴染みのメンツをサポート、リスナーを異次元へと誘ってくれる。VASTの”CHOLESTEROL”でのSHELSHOCKのプロダクションもなかなかだ。CVEの”CV VAULT”は一聴すると地味だが、じわじわと病み付きになる。凄まじいフロウ。

多くのタレントが参加したこのコンピレーション、曲の出来はピンきりといった感じだが、前述の3曲は聴き逃しは厳禁。それ以外も悪くないが、アルバム中の一曲的な出来が多く地味すぎるかな。