EVS “THERAPY…?”

(このレビューはカセット・ヴァージョンのものです)

南カリフォルニア、SUBDIVISIONのサウンドを担うEVSのインスト・アルバム。そのSUBDIVISIONや”SHADES OF GREY”でも、スムースでジャジーなプロダクションは際立っていたが、この”THERAPY…?”では、そんな彼の嗜好性が前面に出て、夏にピッタリの心地良いインスと満載の60分。

曲名は勿論、一曲づつに分かれてさえいないため、何ともレビューを書きにくいのだが。取り敢えず。SIDE A、10分過ぎからのスムースなギターループに幻想的なシンセ、美しいフルートが絡む曲が個人的にお気に入り。20分を過ぎて、奇妙なヴォーカルサンプルの後に登場する疾走するハイハット、アグレッシヴなドラムの上に、これまた心地良いギターにフルート。ドープです。ラストは、何故かロックに。

B SIDEの話。3分過ぎ、レイドバックしたベース・ラインに導かれて美しいギター、ピアノ・ループが登場する辺りは、ヨダレもののドープさ。続く”初秋”といった雰囲気のピアノ・ループ、ヴォーカル・サンプルも素晴らしい。ここでも、フルートが…最高です。取り敢えず、黙って聴いてみて欲しい。

EVSによる、至高のインスト集。ジャジーとは言っても、カリフォルニア出身だけあって、東海岸のアーティスト達のような艶のある夜の雰囲気とは違い、随分と爽やかだ。初夏の昼下がりに、ハンモックに寝そべって聴きたい感じ。たまには、都会の喧騒を忘れて自然の空気を疑似体験してみるのもいいかも。すべてのグッド・ミュージック・リスナーに。