FIVE DEEZ “SECRET AGENT NUMBER 005″

MHZやWEIGHTLESSクルー等で有名なオハイオ州シンシナティから、新たに同地を代表する事になるであろうグループが登場した。MOOD、TALIB KWELI、HI TEK、LONE CATLYSTらが所属するWANNA BATTLE CREWの一角を成す、PASE、KYLE DAVID、SONICとFAT JONの4人組、FIVE DEEZだ。

MCのPASEがトラックを手掛けるイントロ”GENERIC B-BOY NO. 5002″は、電子音やスクラッチが飛びまくる深遠な音世界から、ドラムが全てをヒップホップに変える。続く”DOPE”は緊張感と暖かさが同居した、極上のループで軽い肩慣らし。同郷のLONE CATLYSTからJ. SANDSが参加した”BLUE LIGHT SPECIAL”は、一転してスムース。途中途中の素晴らしい展開にFAT JONの非凡さを聴いて取れる。スクラッチ、フルート、全て最高。”WOW”では、そのJ. SANDSの相棒J. RAWLSが、素晴らしいプロダクションを提供している。ベスト・トラックは、”B.E.A.T.”だろう。粛々としたストリングスからタイトなブレイクがインサートされ、スムースなキーボード・ループ、中盤のファンキーな展開、後半にはガラッと変わってヒューマンビートボックスにブッといウッドベース、幻想的な上モノ、パーカッション、全てが最高にドープで、全体の構成も素晴らしい。”THE ROCK RULE”は、タイトル通りノイジーなトラックが良く、同じくシンシナティを代表するDJ、MR DIBBSがタイトなスクラッチを提供。ヒューマンビートボックスでのフリースタイルっぽい”THE ROCK REHAB”でEPは幕を閉じる。アナログのざらざらしたノイズが臨場感を盛り上げている。

全体に高水準で、MC陣も勿論タイトだが、FAT JONのマッシヴなブレイクと独特のネタ使いに耳を奪われる。特に展開の付け方など、ミュージシャン的というよりヒップホップ以外の何物でもない野蛮な魅力に溢れていて、唸らされる。