GRAND PUBA “REEL TO REEL”

フロント・マンとして引っ張ってきたBRAND NUBIANを一時的に抜けたGRAND PUBAのソロ・デビュー作。

そのBRAND NUBIANのアルバム”ONE FOR ALL”は、5%ネイション信者としてのメッセージが色濃く反映されたコンシャスなアルバムだったが、このソロ作でGRAND PUBAは自分のスタイルが如何にオリジナルであるかといった基本から、そのユルイ語り口で女を口説いたりと、ひたすらリラックスしてビートと戯れている。彼の奔放なフロウと引き出しの豊富さは多くのMCの指標となるもので、定番ブレイク”IMPEACH THE PRESIDENT”にベースを重ねただけのシンプルなトラック上で、MARY J. BLIGEと即興性の高い絶妙の掛け合いを聴かせる”CHECK IT OUT”などは、シンガーとMCの共演曲としては理想的な出来だ。白人の過去の蛮行を断罪する”SOUL CONTROLLER”、白人によって植え付けられた黒人の自虐的思考を正すためにマトモな教育が必要だとライムする”PROPER EDUCATION”の2曲は、BRAND NUBIANを思い起こさせるコンシャスな佳曲だ。

GRAND PUBAの個性を最大限に活かした素晴らしいトラック群の殆どがセルフ・プロデュース。ビート・メイカーとしての才もなかなかのモノだ。極上のサンプルをふんだんに使ったロウなファンキー・トラックが目白押し。ファースト・カットの”360 DEGREES (WHAT GOES AROUND)”は、ドラムをより強化したSD50のリミックスの方が好みかな。

PUFF DADDYが”パーティー・レコード”というタームを単なるディスコの焼き直しに変貌させる前の、ハードコアなパーティー・アルバム。PUBAの類稀な個性が詰まった傑作だ。