GREENHOUSE EFFECT “THE UP TO SPEED EP”

BLUEPRINT、INKWEL、MANIFESTの3人で構成されるGREENHOUSE EFFECTは、オハイオ州コロンバスのグループだ。ほぼ同時期に出たILLOGICのアルバムと合わせて、このEPでWEIGHTLESS RECORDSの名は皆の脳裏に刻まれる事だろう。EPとはいっても、インタールードを合わせて14曲、アルバムといっても差し支えないヴォリュームではある。

イントロに続いての数曲は、いわゆる”スキル物”だ。スペイシーなトラックがとにかく素晴らしい”FREQUENCY OF TRANSMISSION”、スムースな”TRUE DAT!!”など、ドープだ。こうした題材は、MCにとって不可欠だが、それだけでは良いアルバムは出来ない、というのは周知の事実。勿論、彼らはただスキルを誇示するだけのグループではない。ゲットー・ライフをライムした”THE INNER CITY”、地に足の付いた価値観を聴かせる”STAY GOLD”、”SLAVES TO THE RHYTHM”では、資本主義を批判。BLUEPRINTのソロ”HOLDING TANK”では、犯罪に走る友人とそれを止めようとするBLUEPRINTのやり取りが歌われていて、BLUEPRINTがトラックメイカーとしてだけでなく、ラッパーとしても最高レベルである事を証明している。唯一のゲストは勿論、ILLOGIC。レーベル/クルー名を冠した”WEIGHTLESS”に参加しているが、アルバム中唯一感じるところのない曲で、勿体無い限り。

プロダクションは、全てラッパーでもあるBLUEPRINTが手掛けている。ジャジーでソウルフル、ILLOGICのアルバムよりも充実した出来で、素晴らしいトラックばかりだ。要所要所のインタールードもタイト。一貫した、オリジナリティー溢れるスタイルをすでに確立していて、唸らされる。

INKWELとMANIFESTの2人も良いが、やはりBLUEPRINTに注目して欲しい。その卓越したプロダクション・スキルのみならず、マイクでも非凡なライム/デリヴァリーを聴かせてくれる。彼のソロが聴きたい、といったら後の二人に悪いか。ともかく、ここには、ヒップホップ・アルバムに必要な要素が全て詰まっている。ドープなトラックに、ドープなMCだ。