GROUCH “FUCK THE DUMB”

SUNSPOTやELIGH同様、トラック・メイキングとラップ両方の才能を持ったTHE GROUCHの4枚目のアルバム。

オープニングを軽く流す”ALL NATURAL”みたいなのも良いが、THE GROUCHの本領が発揮されるのは、やっぱりコンセプチュアルな曲。自らの体験を織り交ぜつつヒップホップに対する思いを切にライムする”ONCE UPON A RHYME”は特に素晴らしい出来。シンプルで幻想的なトラックも最高だ。”NOTHING CHANGED”なども同じようなテーマながら、彼がどれほどヒップホップに対してシリアスなのか分かるし、聴いてる方もヒップホップを改めて好きになる訳だ。男女の関係を歌った”DRAIN ME”は、共感を呼ぶライムもさる事ながら、THE GROUCHによるトラックがとにかくドープ。彼のベストの一つだ。コンシャスな”TIL THE ENDATHIS”や”YUDONTKNOW”も目新しさこそはないが、余裕の出来だ。

トラックはほぼ全曲THE GROUCHが手掛けていて、前述の”DRAIN ME”を例に出すまでもなく、インタールードに至るまで文句ナシのクオリティを誇っている。ライムが映えるシンプルな”ALL NATURAL”を筆頭に、”NOTHING CHANGED”、”TIL THE ENDATHIS”、”PUT IT DOWN”、”OVER/EVALUATION”と、透明感溢れる幻想的なLIVING LEGENDSサウンドの最高峰。

短くない彼のキャリアの中でも、この”FUCK THE DUMB”は全体的に最も充実したアルバムだと思う。ゲストも最小限に押さえられ、THE GROUCHの魅力が存分に堪能できる。