ILL BILL “WHAT’S WRONG WITH BILL ?”

NON PHIXIONのフロントマン、ILL BILLのオフィシャル・ソロデビュー・アルバム。

まず、冒頭の”WHAT’S WRONG?”が強力。ILL BILLらしからぬ、自らの内面を描き切った内省的な楽曲。ILL BILLがこういう楽曲を作るとは想像していなかったが、彼のキャリアでもベストに入る出来だろう。その後は、いかにもILL BILLらしい楽曲が並んでいる。乱射事件を起こした学生になりきってラップする”THE ANATOMY OF A SCHOOL SHOOTING”、ストレートに政治批判を繰り広げる”AMERICAN HISTORY X”辺りのシリアスなモノから、人類の歴史とエイリアンの関わりを描くという、まさにILL BILL節全開といった感じの”ALIEN WORKSHOP”まで、流石の出来だ。クルーとのマイク・リレーにも磨きがかかっている。パンチライン、パンチライン。

全曲を手掛けるNECROのプロダクションも、相変わらず良い。いつものNECROと言ってしまえばそれまでなんだが、シットリと聴かせる”WHAT’S WRONG”から、お得意の和物ネタ使い”DEATH SMILES AT MURDER”まで、飽きさせない。

一言で言うと、ファンなら満足の一枚に仕上がっている、という事。個人的には、何か意外な面子とのコラボレーションも期待していたのだが、それはそれ。取り敢えずはILL BILLも最高だし、NECROのトラックも好調。佳作。