ILLOGIC “GOT LYRICS ?”

“UNFORESEEN SHADOWS”のリリースで、世界でも指折りのリリシストとしてその名を知らしめたILLOGIC。相棒BLUEPRINTがプロデューサー/ラッパーとして次第に評価を高めている中、AESOP ROCK”ONE BRICK”での印象的な登場で新たなファンを獲得したILLOGIC、最高のタイミングでセカンドアルバムが発表された。

イントロに続く”GOT LYRICS?”は、メインのホーン・ネタからサビのヴォーカル・サンプルまで、とにかくファンキーだ。ILLOGICも、相変わらずのスムースなデリヴァリー。展開がドープな”STOP LYIN”は、タイトなバトル・ライム。なんにせよ、トラックが素晴らしい。シンプルなループに哀愁漂う上ネタが入ってくる辺りは、BLUEPRINTの確かな成長を感じさせる。”PURE FORM”のトラックもドープで、特にラスト近くに入ってくるバグパイプが最高だ。ILLOGICはというと、高度なバトル・ライムを聴かせてくれる。ベスト・トラックは、”SCREENPLAY”だ。ILLOGIC節が炸裂する思慮深いリリックも最高だが、BLUEPRINTのビートも彼のベスト3に入る出来だ。そのBLUEPRINTもマイクを握った”BREAK BREAD”。シンプルなビートに、スムースなILLOGICとラフなBLUEPRINTの相性の良さも特筆モノ。

前作のマイナス点が、全てとは言わないが、改善された充実のアルバムだ。とくに嬉しい事に、BLUEPRINTのプロダクション・スキルがかなりレベル・アップされている。スムースでポエティックなILLOGICは勿論ドープ。前作に比べ多少トピックが狭まっているため物足りないのも事実だが、最高のデリヴァリーで高度なライミングを披露、ありきたりの題材でさえ新鮮に聴かせる事の出来る世界でも数少ないMCの一人である事を証明している。早くも次回作への期待が膨らむが、暫くはこのアルバムで満足だ。