ILLOGIC “UNFORESEEN SHADOW”

MHz等で知られるオハイオ州コロンバスから、BLUEPRINTを中心としたWEIGHTLESSクルーのILLOGICによるデビュー・アルバム。知性漂う、とにかくスムースなILLOGICの語り口。これほどのMCが次々に出てくる辺りが、アメリカのシーンの面白いところだ。

アルバムは、タイトル通り”INTRODUCTION”で幕を開ける。ココでの素晴らしいループは、参加したそれぞれのアーティストがそのまま曲名になった”LIONESS”、”BLACKSMIF”、”DOSE ONE”でも登場していて、アルバムを一つにするのに一役買っている。”WHAT IT TAKES”では、MCにとって必要なモノをライム。トラックは正直いって水準以下だが、ライムはドープ。続いて、自分とのバトルという、今までにないコンセプトの(!)バトル物”ME VS I”だ。独創的なコンセプトもそうだが、なんと言ってもパンチライン。個人的なフェイヴァリットは、「ヒップホップの寄生虫野郎が/俺が宿主なのは明らかだ」。ドープ!同じくバトル物の”BLAOW!”には、女性ラッパーLIONESSが参加、花を添えている。

BLUEPRINTが加わった”FAVORITE THINGS”ではタイトル通り、2人がヒップホップの好きな所を挙げていく、タイトなマイク・リレー。タイトなドラムから、サビにいくにつれて徐々に盛り上がっていくトラックがクソドープな”CHECK IT OUT”とファンキーな”ILLOGISTICS”は、ライミングの真骨頂。あまりに美しいトラックのラヴソング”ANGEL”では、ILLOGICが、自分の彼女を”地球上で最も美しい存在”に例えてみせるが、そのライムはより美しい。愛を語ったと思えば、”HATE IN A PUDDLE”では自己嫌悪について語る。とにかく、エモーショナルな一品だ。インタルード”BLUEPRINT”を挟んで、ストリングスがドープな”TALE OF A GRIOT”。個人的には、このトラックが BLUEPRINTの可能性を示している。前半の幾つかの弱いビーツを全て忘れさせてくれる出来だ。タイト!

スムースなデリヴァリー、多面的なコンセプト、高度なライミング。惜しいのは、質のばらつきが激しいBLUEPRINT のトラックだが、次回作では改善を望みたいところだ。何にせよ、ドープなアルバムだ。WEIGHTLESSクルーは近い将来、多くのリスナーの”FAVORITE THINGS”になる事だろう。リリカル・マスターピース!