IMMORTAL TECHNIQUE “REVOLUTIONARY VOL. 2″

9.11以降、政治的な楽曲が増えてきた。MR. LIFの”HOME OF THE BRAVE”はその代表格だが、PARISみたいな元々政治的なリリックを持ち味とするMC達には、言いたい事が山ほどありそうだ。ハーレム出身、ヒスパニック系MCのIMMORTAL TECHNIQUEもそんな一人で、文字通り東のPARIS的存在だ。セカンド・アルバム。

こんな情勢であるから、偏った報道を垂れ流すメディアを批判する”THE 4TH BRANCH”、アメリカ政府がテロリストを育て支援してきた歴史をライムする”THE CAUSE OF DEATH”のような曲がアルバムの肝である事は間違いないだろうが、個人的なベスト・カットを挙げるとすれば、コカインがアメリカのストリートの売人の手に渡るまでを描いたポッセ・カット”PERUVIAN COCAINE”だ。それぞれのMCが、ボリビアで奴隷同然に麻薬を栽培する農民、汚職役人などを演じ、麻薬戦争の皮肉な一面を見事に楽曲にしている。素晴らしい。

ハーレムのストリートを描写する”HARLEM STREETS”や、宗教からレーベル・オーナーにまで怒りをぶつける”CROSSING THE BOUNDARY”、JEAN GRAEにサビを歌わせたラブ・ソング”YOU NEVER KNOW”など、どれも素晴らしい出来だが、このアルバムがデビュー作を上回るクオリティを誇っている最大の要因は、トラックだ。IMMORTAL TECHNIQUEがヒスパニック系だからだろうが、メランコリックなギター・ループ使いが最高に効いている。ユーモラスな”OBNOXIOUS”をはじめ、充実のトラック群がアルバムのシリアスなメッセージを聴き易くしている。

理想的なセカンド・アルバムと言って良い。方向性はそのままに、質は数段アップ。殆どの楽曲を一人で聴かせきるIMMORTAL TECHNIQUEのスキル、存在感は一流だ。