INFINITO “MUSIC WITH SOUND RIGHT REASONING”

シカゴはMOLEMEN周辺から、INFINITO。既にかなりの数のアルバムを残している(20枚を越すらしい)が、BIRTHWRITEからリリースされたこの”MUSIC WITH SOUND RIGHT REASONING”が最初のプロフェッショナル・プレス・アルバム。

MOLEMENが完全バックアップしたこのアルバム、シカゴ流トラディショナル・ヒップホップが好きなリスナーには堪らない内容。奇をてらった所のない軽めのフロウからはINFINITOの顔があまり見えてこないが、パンチラインよりも自分の音楽に対する姿勢を絡めたバトル・ライムと、地元に対する思いの詰まった”BLACK CHICAGO”や不安感が滲み出る”AT NIGHT I CAN’T SLEEP”などには、”近所のラップの上手い兄ちゃん”的な彼のキャラクターがよく出てると思う。

トラックの方は、MOLEMENのMEMOとMIXX MASSACREがほぼ全曲を手掛け、相変わらずのサウンドを展開。哀愁を煽るストリングス・ネタの多用に新鮮味は微塵もないが、嫌いになれない魅力がある。特に、冬の風景にハマる。このアルバムは是非、家で聴くよりウォークマンで町を徘徊しながら聴いて欲しい。今の時期にピッタリだ。

MOLEMEN絡みの作品に共通の、オーソドックスなヒップホップの魅力が詰まったアルバム。ヒップホップに革新性のみを求める向きには退屈なアルバムかもしれないが、INFINITOのような普通に格好良いラッパーがゴロゴロしている辺りに、アメリカのシーンの懐の深さを感じずに入られない。