INK OPERATED “INK OPERATED PRESENTS…”

カナダはヴァンクーバー出身の4MC、KABOOM、EPEDEMIC、MUMBLZ、GRAFHICがINK OPERATED。LOW PRESSUREのコンピなどでお馴染みだと思うが、MOVESが送る期待の新人グループだ。他のLOW PRESSUREアーティストの例にもれず、マッシヴなビートに病んだライムを聴かせるが、彼らの強みは激しい掛け合いスタイルだ。

冒頭の”WHEN IS THE INK OPS ALBUM COMING OUT?”から、独特のユーモアが光っている。ファンキーなビートや激しくマイクをパスする様は、初期のPHARCYDEなどを彷彿とさせるカラフルな魅力があるし、4人のキャラも立っている。ともすれば古臭く聴こえる”CHANT IT; OOH AH OH”や”HANDS DOWN”などのハイテンションなヴァイヴは、嫌いになれない魅力に溢れている。勿論勢いで押すだけのグループではなく、リリック面でも唸らされる。KABOOM、EPEDEMIC、MUMBLZ、GRAFHICの順に地元ヴァンクーバーを持ち上げる”VANCITY REIGN”、ワックMCに痛烈な一撃を加えるGRAPHICとGOVERNOR BOLTSによる”NEIGHBOURS”や”RETURN TO SERVER”、単語で繋いでゆく詩的な”OPTION’S OPTIONAL”など、練られたオリジナルなリリックを聴かせてくれる。”STEP IN SITE”では、社会派な一面も覗かせてくれるし、MCENROEの深いプロダクションが印象的な”LIGHT YEARS AND DARK DAZE”では、内省的になってみせる。全体にそこはかとなく漂う病んだ空気は、猟奇的なホラーストーリー”SUNSHINE, RAINBOWS AND FLOWERS”に集約される。

プロダクションは、メンバーのKABOOMが約半数を担当、どれも良い意味でいい加減なエナジーに溢れていて、ドープだ。MOVESやMCENROE(トレードマークとも言えるベースは健在だ)は一歩引いた印象だが、アルバムの良いアクセントになっている。

タイトなトラック/スキルフルなラップ、共に高水準で、ソリッドなデビュー・アルバムに仕上がっている。ヴァラエティに富んだ曲調は、リスナーを飽きさせない。お勧めだ。