J. RAWLS “THE ESSENCE OF…”

相棒のMC、J. SANDSとのグループLONE CATALYSTSでの活動や、レーベルB.U.K.A. ENT.のトップとしてシンシナティのシーンを盛り上げ続けるプロデューサー、J. RAWLS。

アトランタからMASS INFLUENCEを招いた”SUPERHERO”は、うねるベースラインがドープな重量級のトラック。彼らが善玉を演じ、悪役となるワックな連中をなぎ倒してゆく。相棒J. SANDSとHEIMY Dの”BIRDS OF A FEATHER”は、メロウなギターとヴォーカル・サンプルが心地よい、スムースな逸品。中盤のブレイクダウンに飛ばされる。RUBIXがMCの何たるかを語る”ELEGY”に続くJ. LIVEの”GREAT LIVE CAPER”が、前半のハイライト。勢いのあるギター・ループ、サビのヴォーカル・サンプル、ストリングス、全てが最高にドープ。最高のトラックを得たJ. LIVEも、ジム帰りの一夜の物語を調子よく聴かせてくれる。シンシナティでキャリアをスタートさせたDOSE ONEと、一躍人気プロデューサーとなったFIVE DEEZのFAT JONがマイクを握った”MENISCUS”は、このアルバム中でも異色の一曲。不気味なループの上で、DOSE ONEがいつもと比べてオーソドックスなデリヴァリーを聴かせている。”BLUE #2″は、メロウでジャジーな極上のトラック。サックスが途轍もなく美しく、ウットリする。HOME SKILLには悪いが、声が流れてゆく。

シカゴのFAMILY TREEクルーから、CAPITAL DとMR GREENWEEDZが参加した”COLD TURKEY”はピアノ・ループだが、少し弱いかな。心地よい”FAR AWAY”には、ニューヨークからAPANIとMR. COMPLEXがライムをスムースにキック。女性ヴォーカルが遠くへと運んでくれる。”LONE CATALYSTS”は、タイトル通りJ SANDSとのユニットLONE CATALYSTSによる一曲。フィリーソウルのような透き通ったトラックが良いパーティー・チューン。J. RAWLS自身もラップしている。J. SANDSにGRAP LUVAが加わった”CHECK THE CLOCK”の、ドラムとループのミスマッチは頂けないが、ワシントンD.C.からASHERUがUNSPOKEN HEARDを代表してマイクを握った”NOMMO”では、そこはバッチリ。続く”THEY CAN’T SEE ME”は、J. RAWLSがソロでラップも担当。ラッパーとしての彼は、水準かそれ以下といった印象。アルバムを締めくくる”BLUE #2 (REPRISE)”については….言わなくても分かるでしょ?

ジャジーでソウルフルなトラックが彼の持ち味なのだが、洗練された感じではなく、ある種の泥臭さに満ちていて、サンプリング・ミュージックとしてのヒップホップの魅力を再確認させられる。このアルバムで使われた心地よいグルーヴの数々の裏にあるであろう、膨大なレコード・コレクションが見えてきそうだ。