MYSTIK JOURNEYMEN “WORLDWIDE UNDERGROUND”

LIVING LEGENDSは、DJ QUIETSTORMやARATAを引き合いに出すまでも無く、日本との繋がりが強いグループだが、このアルバムは特にその色が濃い。鬼だまりの写真を使ったジャケからしてそうだし、日本で録音された曲もあるぐらい。まるで旅日記のようにアルバムを作り続ける彼らにとっては至って自然な事なのだろうが、一日本人としては何故か嬉しくなってしまう。そんな事を抜きにしてもドープなアルバムだけどね。

アルバムを華々しく飾るのは、ヒップホップの現状の危機を訴え、インディペンデントの誇りを力強く語る”THE FIREFLY REBELLION”。へヴィーなベースラインがドープな必殺チューン。PSCもいつに無くアグレッシヴだ。一転してレイドバックした”NEXT STOP OAKLAND”は、中盤の転調も堪らなくタイト。叩き付けるドラムに綺麗なピアノがよくマッチした”CREATORS OF DESTINY”では、構造的な人種差別について語っている。COMMONのヴォーカル・サンプルも効果的だ。レビューの冒頭でも述べた日本で録音された曲が、この”15 MINUTES TO YUTENGI”だ。鬼だまりでのライヴの事などが語られていて、日本人として興味深いだけでなく曲として単純にドープだ。スクラッチには勿論、DJ QUIETSTORM。 LEGENDSのポッセカット”VOICES”では、MURSを皮切りに圧巻のマイクリレーがたっぷりと堪能できる。ただただドープ。GROUCHとの”RIGHT NOW”ではシリアスに、現代社会の問題をバッサリと。

シンプルでラフながら不思議な浮遊感を漂わせるSUNSPOTのトラックも絶好調、余裕の高水準アルバムだ。スキットの多さからEPといったほうがシックリ来るかもしれないが。なんにせよ、良心的なリスナーなら無条件で手にすべきという事。